このホームページでは、日頃、疑問に感じたことや興味を持ったことを独自の視点で分析した資料や文章を公開しています。

 

 世の中の時代の変化は、たくさんの小さなトレンドが大きな流れを生み出し、それがメガトレンドとして認識され、国、企業、個人へ影響を与えます。その構造を解き明かすことで、それがどのような未来につながるのか、についての示唆をはじめて読み取ることができます。メガトレンド分析には、深く、そして広い見識と洞察が求められます。

 

 私の分析のスタンドポイントは以下から構成されています。

①モデル化

②解きほぐし

③構造化

④意味合いの抽出

⑤その結果としての行動へのヒント

 

 フレームワークに沿った形だけの分析は分析ではない。意味合いを抽出して、アクションにつながる示唆が得られてこそ分析である。そして、分析は定量と定性が合わさって、はじめて爆発的な効果を発現する。

 

 分析のプロフェッショナルとして、その成果を公開するとともに、様々な人の意見を聞きたいと考えています。加えて、分析についてお困りのことがあればお問い合わせ下さい。データや事象の利用度の巧拙が、その後の行動の成果に大きな差異をもたらします。事実と思い込みは異なる、問題と思っているものは問題ではない、そして、業界の常識にはビジネスチャンスが溢れているかもしれません。

2014年

2月

02日

ジャンク・ニュースのマス化

 世間ではドラマ「明日ママがいない」についての報道で大変な様子である。全スポンサー撤退、TV局の最後までの放送意向、関連団体の抗議などなど、飽きる気配を見せない。本当に皆さんはこのニュースに興味がありますか?

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2014年

1月

13日

週刊ダイヤモンド12月7日号の野口氏の記事から

 野口 悠紀雄氏は学者/経済評論家として有名であり、本の執筆やビジネス誌で度々お目にかかる。1年ほど前に氏の本を購入して読んだことがある。その中で日本の税制について見解を述べていたが、実務をまったく理解していない空論の展開を見てから、途中で読むのを止めてしまった。そしてこの記事を読んで、無視できないほど彼のロジックがハチャメチャであり、それを今回考えてみた。古い記事であるが、インドではなかなか新しい雑誌を読めないため、お許し願いたい。

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2013年

12月

19日

新コーナーのお知らせ

 中小製造業の調達の仕事をされている方向けに「部品調達のヒント」を掲載します。機械部品商社で7年間、現場に接して疑問に思ったことをまとめて、いかにコスト削減を実現するかのヒントを提供したいと考えています。ナゾが多く、複雑な流通構造を持つ業界の一端を解き明かします。

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2013年

11月

08日

デフレの景色(CPI分析から見える真実とは?)

 今回は前回に引き続き、デフレ、消費者物価指数(以下「CPI」)について考察したい。阿部総理、黒田日銀総裁をはじめとして、ニュース、新聞は「デフレ脱却に日本の未来がかかっている!」といった論調が支配的である。

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2013年

11月

03日

CPIの上昇は真実なのか?

 さて前回に引き続きインド経済概況Part2を予定していたが、今回はホットな話題である消費者物価の現状を分析してみたい。インド経済概況の続きは次回とする。10月31日に日銀から「経済・物価情勢の展望(10月)」が発表された。内容は強気であり、消費者物価上昇率2%達成に自信を深めているようである。

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2013年

10月

21日

インド経済概況:Part 1

 インド生活も2ヶ月が経過しようとしている。8月下旬よりデリーに在住しており、食中毒、怪我といった思わぬイベントを乗り越え、少し生活らしくなってきた今日この頃である。今後、ビジネス環境やミクロレベルの消費動向などにも触れていきたいが、今回はマクロレベルの経済概況を確認してみたい。

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2013年

9月

16日

完全失業率の改善は本当か?

 8月下旬よりインドに赴任している。海外で仕事をすることは非常に有意義になると考えているが、中々思うようにいかない点はやはり多い。インドの株式市場や日本企業の進出状況、ビジネスチャンスや制約といったことも今後、触れていきたい。今回は、これとは関係なく、久しぶりに日本の労働市場の分析を書く。

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2013年

7月

28日

ファンダメンタルか?トレンドか?

 更新するたびに数ヶ月ぶりが定着している。前回の投稿以降、色々と生活に変化があったにしても、3ヵ月も書けないとは情けない。私が何をしていたかと言うと、7年以上勤務した愛着ある会社を離れ、性懲りもなくまた別の道を選択することになった。さて、今回はタイトル通り、株式市場について独自の視点で書きたい。いわゆる「アベノミクス」で急騰した株式市場は5月23日の下落ショック、6月の調整局面を乗り切り、先日(7/26)の大きな下落はあったものの、7月以降堅調さを維持しているように思える。

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2013年

4月

29日

BBレシオと半導体業界

 今回は半導体業界について取り上げたい。「半導体」とは?と聞かれると、パソコン、携帯・スマホ、カーナビ、エアコンといった家電製品、通信機器等に使われている電子部品である、といった認識になるであろう。かつて日本の半導体メーカーは国際的に高い競争力を持っていたが、近年、DRAM大手のエルピーダメモリの破綻やシステムLSI大手のルネサスエレクトロニクスの経営再建など厳しいニュースが多い。

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2013年

4月

07日

異次元金融緩和の勝算はいかに?

 さて、4月4日に黒田日銀による「異次元金融緩和」が発表され、「今度こそ!」という日本経済好転に対する市場の期待が高まっている。為替市場ではドル円、クロス円ともに主に金利差拡大により猛烈な円安が進行し、株式市場も好感している。マスコミではアベノミクス、そして黒田日銀総裁に対する賞賛の声が多い一方、懐疑的な見方も少なくない。さて異次元金融緩和は本当に日本経済を浮揚させることが可能なのか?

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2013年

2月

24日

男性雇用の価値低下?

 本日、ヤフーのニュースを見てると、気になる記事を見つけた。あまりに乱暴な論理展開のため、今回は前半部分を検証してみた。

 

http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20130221-00028341-r25&vos=nr25yn0000001

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2013年

2月

02日

工作機械と生産手段のデジタル化から見えるもの

 今回は日本における工作機械の生産・受注の現状を分析することで、部品製造業の苦境の構造の一端を解き明かしたい。ところで工作機械とは何か?言葉としては多くの人がご存知であろうが、説明できる人は少数であろう。

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2012年

9月

16日

得ることのできるもの、できないもの

 さて領土問題花盛りである。尖閣諸島は中国と、竹島は韓国との間で二国間の紛争が大きな問題になっている。特に尖閣諸島については、中国内の暴動により、日本企業や日本人に被害が及んでいる。今回は分析的アプローチが希薄であるが、取り上げたい。

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2012年

8月

18日

日本の苦境を表すシャープの経営危機

 連日、シャープの危機を伝えるニュースが報道されている。つい5年前まで、世界の亀山モデルとしてブランド力を持ち、超優良企業として認められていた日本を代表する電機会社の苦境はにわかに信じがたい。前期決算においてもパナソニック、ソニー、シャープといった企業が大きな赤字となり、話題となった。これは単発的な出来事ではなく、構造的な問題であり、「早晩解決されて、また元気になります」といった類の話ではない。統計数値を見れば、電機業界の置かれた苦境が明らかになる。

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2012年

7月

21日

反原発デモ

 約2ヶ月ぶりの更新となりました。40日間の海外出張など、書く気力もなかったが、最低月1回は更新したいと思う今日この頃である。今回は反原発デモを取り上げたい。大飯原発の再稼動を契機に盛り上がりを見せているが、個人的に大きな違和感をぬぐえない。

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2012年

5月

27日

経済合理性と安全性の狭間で

 相変わらず原発問題は毎日のようにニュース、新聞に話題を提供している。その議論のほとんどは感情論に任せたものが多く、安全を取るか、経済を取るか、といった感じである。政治家、企業、民間機関、個人がそれぞれ自分の立場からの見方を振りかざし、およそ全体観を持った意見、論説は見られない。

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2012年

5月

06日

高速バス会社の収益構造

 皆様、かなりのご無沙汰となってしまいました。なんとこれが今年2回目とはなんとも情けない。年初の目標はどこへやらである。私が何をしていたかと言うと、今年に入ってから新規事業の立ち上げに奔走していた。なんとか立ち上がったので、今後は目標にした月2回の投稿を守りたいと切に願う。

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2012年

1月

02日

日本の財政状態を今さらながら考える①(概要編)

 新しい年がはじまった。毎年の終わりに「今年も何も出来なかった・・・」と嘆いている私であるが、今年こそ、高い目標を掲げて、それを達成したいと考えている。もちろん、毎年自分自身が成長することは当たり前であるが、その成長する角度を上げなければ真の成長とは言えない。惰性の角度による成長では毎年ステップアップする目標が遠ざかるばかりである。現在の10度を20度、30度にするためにさらなる努力を続けるべきであると認識している。 このHPにおいても、昨年は8月まで月に3~4本の投稿をしていたものの、9月以降の4ヶ月で1本のみに激減してしまった。今年は月2本の投稿を自分の最低指標に置くこととする。

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2011年

11月

13日

TPP

 超多忙により2ヶ月半ぶりの更新となりました。私の近況は、2つの新規事業の企画を抱え、海外出張やそれらの準備などに忙殺されている。取り上げたいトピックはたくさんあったが、書く時間を見つけることができなかった。しかし、これだけ話題になっているTPPについては是非と思い、久しぶりに独自の視点で書いてみる。(1/22に農業問題について書いていますのでご参照下さい)

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2011年

8月

21日

なでしこジャパンへの熱狂

 さて今回は、ここ最近気になっていた「なでしこジャパン」について考えてみた。「なでしこジャパン」についての説明は、もちろん不要であろうが、女子サッカーの日本代表チームを指す愛称である。ワールドカップ終盤から現在までの「なでしこジャパン」に対する熱狂ぶりはすさまじい。

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2011年

8月

16日

お手軽な努力を斬る!

 さて、そろそろ盆休みも終焉の足音が聞こえてくる。私は何をしていたかというと、フリータイムは英語学習6割、事業考案(会社用)3割といった感じである。相変わらず、座っている時間が長かった。ところで、最近、気になるのが世間の「お手軽な努力」の風潮である。今回は分析視点が希薄であるが、考えてみた。

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2011年

8月

10日

偶然の出来事

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2011年

8月

07日

円高とは何か?

 市場では円高が進み、メガトレンドとして大きな問題になっている。ところで、円高とは何であろうか?今回は、当たり前に使っている円高という言葉を改めて考えてみたい。

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2011年

7月

30日

ゆうちょ銀行②

 前回の続きとして、ゆうちょ銀行について考えてみる。前回をまとめると、以下となる。

 

・資産の8割を国債・地方債が占める

・収益の9割が有価証券利息配当金である

・ゆうちょ銀行は国家保有であり、その最終利益は国に帰属する

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2011年

7月

23日

ゆうちょ銀行①

 今回はやはり気になる存在である「ゆうちょ銀行」を分析してみたい。国債の暴落危機が叫ばれる中、国債の購入者として貢献しているゆうちょ銀行とはなんのためにある会社なのか、を考えてみる。

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2011年

7月

21日

家電量販店のポイントの正しい計算方法

 最近アクセスが減少傾向であるが、今回は軽い話題でいってみたい。言わずと知れた家電量販店で買い物をすると付くポイントであるが、皆さんは正しい計算が出来ているだろうか?それほど大げさな話ではないが、考えてみてほしい。あなたは、○ド○シカメラの店頭で162,800円(税込)のノートパソコンの購入を検討しています。ポイントは20%付きます。さて、このノートパソコンの実質価格はいくらになるでしょう?

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2011年

7月

17日

資源価格の高騰

 資源価格の高騰が止まりません。原油、鉄鉱石、銅、ゴムといった工業資源にとどまらず、大豆、小麦、トウモロコシ、コメに代表される穀物も過去に例のない上昇です。2011年5月は、2000年1月と比べて、大豆2.3倍、小麦3.3倍、トウモロコシ3.3倍、コメ2倍に上昇しています。資源価格の高騰はメガトレンドの1つと認識しています。チャートは「マクロ分析」からDLできます。

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2011年

7月

10日

少子化分析パート3(10年後の出生数)

 前回、少子化について、出生数を従属変数として、説明変数を人口要因、出生率要因の2つに分けて分析を試みた。さらに出生順位(第一子や第二子等)に分解し、異なる傾向があることを証明した。今回は、さらにメガトレンドをときほぐし、晩婚化がどのように少子化に影響を与えているか、そして今度の影響の方向性について分析している。晩婚化、シングル化に至るまでの要因は別の機会に明らかにする。

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2011年

6月

25日

少子化分析パート2(要因別分析)

 またまた少子化についてである。しかし今回はメガトレンドである少子化の背景ではなく、少子化につながっている直接的な要因を分かりやすい数字をもとに分析している。その上で、新聞やニュースで言われている「今ひとつ納得を感じにくい直接要因」について数字を持って証明したい。

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2011年

6月

19日

感情論の弊害

 先日、「海江田経済産業相は18日、定期検査を終えた原発の再稼働を認めるよう要請する方針を表明したが、立地する自治体の理解を得られるどうかは依然不透明だ。」というニュースがあった。それを受けて、複数の自治体等がそれに反応している。主なものは以下の通り。

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2011年

6月

10日

AKB48に見る「個」と「チーム」の微妙なバランス

 昨日は、AKB48の「総選挙」だったらしい。ルールがよく分からないのが残念だが、要はファンによる人気投票である。1位になるとセンターで歌えるという栄誉を獲得できる、となっている。その総選挙は日本武道館で行われ、ネットもテレビもかなりの時間を割いて取り上げていた。もはや社会現象の域に達しているが、今回はこの「総選挙」から学べる「個」と「チーム」について独自の視点で考える。

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2011年

6月

04日

維新の会

 大阪では橋下大阪知事の率いる維新の会が絶好調である。君が代起立条例案の成立、大阪府議の定数削減の実現へ向けて、新聞、ニュースに話題を提供している。君が代起立条例については以前に書いたため、今回は大阪府議の定数削減を考えてみた。

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2011年

5月

28日

資料のアップ

 1年前に分析した労働問題のチャートを「マクロ分析」の「労働問題の現状・構造と今後」にアップしました。コメント付きのトータル資料をリリースするつもりでしたが、かなり時間を要しているため、先にチャートのみを公開しました。

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2011年

5月

23日

国歌斉唱

 大阪府の橋下知事が「君が代斉唱時の教員の起立義務化条例案」に強い姿勢で取り組んでいる。毎度お騒がせします、といった感じである。さて、今回も独自の視点で考えてみたい。

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2011年

5月

05日

サマータイム

 震災による東京電力のキャパシティの減少に伴い、再度サマータイムが注目されている。大手企業を中心にサマータイムを取り入れる発表があったり、国全体としてのサマータイム実施の検討を促す意見もあるようだ。「サマータイム」と聞くと、太陽が明るいうちの活動量が増加し、暗いうちの活動量が減少するため、なんとなく「省エネ」効果がありそうだと、多くの人が感じるであろう。今回は、サマータイムの省エネ効果を独自の視点で考えてみたい。

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2011年

5月

03日

日本相撲協会

 大相撲は朝青龍問題、大麻、野球賭博、そして八百長事件と不祥事が続いている。今年は正式な「本場所」も開催できず、組織の存続の危機に立たされている。考えてみれば、大相撲は国技として優遇され、国民の一定の関心を引き付け、長らく独占的な事業をしている。若貴フィーバーや朝青龍などの人気力士の有無により浮き沈みはあるものの、プロレスやK1などの格闘技に比べて楽な商売を続けているようにも思える。

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2011年

4月

24日

資料のアップ

 度々取り上げており、まだ分析中のできちゃった結婚に関する資料を「トレンド・トピックス」に公開しました。まだ謎が多いですが、今後も分析を続けます。

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2011年

4月

21日

AKB48に見る投資価値

 今回はある意味でメガトレンドといえるAKB48を独自の視点で考えてみた。テレビ欄や雑誌の見出しにAKB48が出ない日はない。とにかくすさまじい人気のようである。AKB48を2年前、3年前どの程度の人が知っていたか?おそらく火がつきだしたのは2年前くらいであろうか?あれだけよく耳にする「会いたかった」は2006年10月発売で4年以上の前の曲である。AKB48は2006年頃から活動していたが、当初は全国レベルで考えると売れていなかったようである(秋葉原でどうかは知らない)。それが昨年ぐらいからドミノ倒しのように勢いがつき、あっという間にトップアイドルになった。このドミノ倒しのような人気の勢いは以下のようなメカニズムである。

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2011年

4月

13日

レベル7の衝撃

 震災から既に1ヶ月が経過したが原発問題は解決の糸口すら見えない。そしてついに、原発事故の評価尺度で最悪を意味する「レベル7」に決定した。経済的影響は非常に大きなものになるであろう。「あのチェルノブイリ」と同じレベルなのである。マスコミであまり大きな取り扱いとなっていないことに、私には違和感がある。メガトレンド中のメガトレンドについて考えてみた。

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2011年

4月

10日

日本人の献身性

 今回は、分析とは関係のない、情緒的な意見を書いてみたい。地震から約1ヶ月が経過した。被災者に対する支援はまだ行き届いていないし、生産活動の停止などによる経済の停滞、いつまでも終息しない原発の状態、深まる政治の混迷など、問題はまだ山積みである。しかしながら、その渦中で目にし、耳にするのは日本中の人々の献身的態度である。多くの経営者やスポーツ選手、芸能人は多くの寄付や支援を行い、老若男女を問わず、今までにはない支援の輪の広がりがある。

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2011年

3月

26日

資料のアップ

 私は現在、機械部品流通業に携わっています。以前に分析をした機械部品流通業の業態についての資料を「トレンド・トピックス」にアップします。ご意見、ご感想をお待ちしております。

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2011年

3月

19日

電力供給危機

 東北地方太平洋沖地震の被害者は増加する一方であり、また被災者の方々には物資の輸送の遅れ、悪環境での生活の長期化、それによる精神的ストレス拡大など、状況はまったく改善していない。少しでも早く、事態が改善するのを願い、そして自分が出来ることをやりたいと考えている。ところで、福島第一原子力発電所の状況は悪化の一途をたどっており、世界中を不安にさせている。もちろん、この問題は非常に深刻だが、電力供給の不足の事態もまた長期化する。今回はこの電力供給問題について分析してみたい。

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2011年

3月

13日

東北地方太平洋沖地震

 あまりにひどい災害である。この世のものとは思えない光景に、ぼうぜんとしてしまう。少しでも被災地の方々の力になりたいが、まだ素人がボランティアをするような状況ではないようだ。今の私に出来ることは、寄付をすることだけである。私もこの地球に、日本に、「生かされている存在」として、少しでも貢献したいと考えている。

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2011年

3月

06日

できちゃった結婚2

 昨年12月12日のブログで、『できちゃった結婚』について記載した。その後も、このメガトレンドについては、頭から付かず離れずの状態になっていた。できちゃった結婚が増加したのはなぜなのか?について、明確な答えを自分で出せなかったのである。そして、先週から再び、深く分析を試みている。そして、答えが見つかったかに思えたが、矛盾が噴出している。その途中経過を今回は書く。

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2011年

3月

02日

大学入試問題のネット投稿問題

 さて、入試問題が試験中にネットに流れ、それにより不正受験した問題で世の中はもちきりである。冷静になって考えてみると、『単なるカンニング』(不適切な表現ですが)である。最初聞いたときは、むしろ『どうやって?』ということに私は興味が湧いたものである。ここで、『試験をカンニング、それもネットを使うとはけしからん!(怒)』ではつまらない。独自の視点で考えてみた。

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2011年

2月

28日

(続)少子化対策の考え方

 すっかり久しぶりとなってしまったが、前回の続きを考えてみたい。すなわち、『②現在すでに結婚している夫婦に、出来るだけ多くの子供を持ってもらう』である。現在の出生数の低下は、シングル化(結婚しないため子供が生まれない)と晩婚化にその理由が求められる。もちろん、子供を持たないことや多数の子の出産を望まないなどの価値観の変化もその要因と考えられるであろう。

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2011年

2月

13日

少子化対策の考え方

 今回はメガトレンドである少子化対策について再び独自の視点で考えてみたい(「トレンド・トピックス」の「少子高齢化の構造分析」において詳しく分析しています)。日本においては出生数が減少の一途をたどっている。私が生まれた1971年の出生数は200万人、一方2009年のそれは107万人である。政府は少子化対策として、子供手当てや各種補助金、働く女性のための育児環境の整備、不妊治療の支援等、各種の対策を打ち出している。もちろん各種の打ち手自体において、「効果があるのかないのか?」と問われれば、「ある」とはなるが、「一体どの程度利きの良い打ち手か?」と問われれば、「???」である。

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2011年

2月

05日

資料の追加

①「マクロ分析」に「鉱物資源の現状」を追加しました。銅についてまとめた資料と主要国の原油・天然ガスの埋蔵量・生産量の表をアップしています。

②「コラム」に2つ追加しています。いずれも3~4年前に書いたものです。

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2011年

2月

05日

佑ちゃんフィーバー

 とにかく「佑ちゃんフィーバー」である。キャンプ前の自主トレから二軍の練習場には人がつめかけ、キャンプ地も佑ちゃん目当ての客でごったがえしである。日本人の集団心理の一種であり、興味深い。同じような例として、AKB48に対する過熱や少し古いが韓流映画・俳優ブームがある。

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2011年

1月

23日

右向け左!

 今日のヤフーニュースで「武田薬品の2013年春からの新卒採用の基準として、TOEIC730点が義務化」との記事を読んだ。楽天は数年後に英語を社内公用語にするなど、この手の話題は最近多くなっている。企業にとっていかに海外ビジネスが重要になっているかを示すものであり、興味深い。しかしここで、「いや~日本人もこれから大変だね~」では事業家を目指す者としては情けない。

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2011年

1月

22日

農業問題ついて考える

 すっかり更新が週1ペースになっている。今後は発言回数を増やしていきたいと考えています。最近、日本のTPPへの参加の是非が新聞紙上やニュースで取り上げられている。それに伴い、TPP参加に対する障害として、日本の農業問題がクローズアップされているようだ。農業問題を含めた食糧問題は1年前に相当調べたメガトレンドである。今回は農業問題について考えてみた。

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2011年

1月

16日

続・高齢化の問題を考える

 さて、「高齢化は問題か?」の続きである。高齢化によってどんな問題があるのであろうか?

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2011年

1月

09日

高齢化の問題を考える

 さて、問題です。高齢化は問題でしょうか?言葉遊びではない。相変わらずニュース、新聞や雑誌では「高齢化が招く未来の恐怖」や「世界で類を見ない高齢化社会への突入」といった調子でとにかく大変らしい。大変なことは確かであるが、高齢化自体が大変なことを意味するわけではない。今回は再び、このメガトレンドを取り上げる。

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2011年

1月

04日

植物工場

 本日の読売新聞に野村HDが農業分野のコンサルティングに参入し、その一環として「植物工場」による野菜の生産を検討している記事があった。「植物工場」は一昨年あたりから話題になっているトレンドの一つであり、異業種からの参入が多い。

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2010年

12月

31日

大晦日

 このウェブページでは、私的なことはできるだけ排除してきたが、今回は大晦日にあたり、今年の個人的な総括をしたいと思う。私自身にとって、今年は30代最後の年であったため、最初から「節目」を意識した。平成22年の最終目標を「新規事業の企画・実施」においた。

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2010年

12月

26日

先入観

 人は常に過去の経験や自分の思考の癖、そして自分が既に知っている周辺情報により、ある物事に対する予想をし、それをほぼ決まったものとみなしてしまう。そして、場合によっては、その自分で出した予想が事実であるとして、本当の事実を見ることなく、その予想に基づいて行動してしまう。

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2010年

12月

23日

買い物難民

 今年から、新聞やニュースで「買い物難民」という言葉を耳にするようになった。買い物難民とはその名の通り、過疎地の高齢者に代表される日常の買い物が満足にできない人達のことをいう。小売店は遅くまで毎日営業し、なんでも売っているし、安い、加えて、すぐ行けばコンビニがあり、ホームセンター、ドラッグストア、家電量販店、ディスカウントストアとなんでも揃っている地域に住んでいる人達には対岸の火事かもしれない。

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2010年

12月

16日

民主党に見る組織の力学

 相変わらず政治局面は大変である。民主党内の小沢さんをめぐる混乱は、国にとってメリットなしである。外交、経済など、重要問題そっちのけの報道でマスコミも相変わらずの様相を呈している。

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2010年

12月

12日

できちゃった結婚

 最近はヤフーを見ていて、目につくのが芸能人等の「できちゃった結婚」である。私の感覚では、芸能人等の結婚ニュースの3割以上が「できちゃった結婚」と推測する。もちろん芸能界だけではなく、一般人の間でも「できちゃった結婚」は市民権を得ているようである。例えば、厚生労働省の統計によれば、平成16年に第1子を産んだ夫婦のうち、約1/4について、結婚期間が妊娠期間より短い出生(簡単に言うと結婚した時点で妊娠している)であり、「できちゃった結婚」と考えられる、とのことである。

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2010年

12月

08日

日本沈没

2003年以降の景気拡大局面における分析、グローバル化が日本の製造業や機械部品流通業に与える影響、構造、そして今後の日本の生産活動に対する洞察をまとめた資料を公開します。トレンド・トピックスにアップしました。

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2010年

12月

08日

頭の良い人、悪い人?

 久しぶりの更新となりました。今回は、「頭の良い人」と「頭を使う人」について独自の視点で考えてみたい。世の中には、「頭の良い人」と「頭の悪い人」がいると考えられている。さて、「頭の良い人」ってどんな人?「頭が良い人」は先天的に頭が良いのか?

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2010年

11月

27日

薄型テレビの超低価格化

 とにかく薄型テレビが安い!エコポイントの制度変更に伴う駆け込み需要が年末商戦の前に盛り上がっている。私も数店舗を訪れてみた。郊外のヤマダ電機、大阪ミナミのビッグカメラ、どちらも大混雑であった。ビッグカメラは平日の3時頃であったが、客待ちが十数人である。

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2010年

11月

25日

単身急増社会の衝撃

 今日は、たまたま本屋で非常に興味をひくタイトルの本を見つけました。「単身急増社会の衝撃」(藤森克彦著)です。私も単身世帯の増加は注目しているメガトレンドであり、6月にかなり多面的な分析を実施し、アイデアレベルですが複数の事業を考えました。まだ「はじめに」しか読んでいませんが、多くの示唆がありそうです。私の分析との視点との違い、根拠、違う見方など、広い角度から考えながら、ゆっくり読んでみたいと思っています。

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2010年

11月

20日

学生の就職環境の悪化を考える

 菅総理は新卒者の就職改善に全力で取り組み、ジョブサポーターの充実などの対策を行うらしい。焼け石に水の感は否めないが、今年も大学生、高校生の就職環境が厳しく、就職できない学生が現時点で大量にいる。企業の収益環境が悪いため、採用数を減少させていることも理由の一つであろう。製造業の新規学卒者の採用は、2009年においてはピークの1992年の半分以下である。もちろん、求職者数の母数が減少しているため、単純比較はできない(2009年は1992年比7割程度である)。

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2010年

11月

13日

尖閣諸島の衝突事件のビデオ流出問題

 テレビ、新聞、ネットでは、尖閣諸島における日本の巡視船と中国漁船の衝突ビデオの流出事件でもちきりである。ほんとうに国民はそんなことに興味があるのか?マスコミが騒ぎ立てるから、なんとなく大変なことで興味をもつべきこと、のように錯覚しているのではないのか?

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2010年

11月

03日

日本の外交問題

 このところ中国との間の尖閣諸島問題、ロシア大統領の北方領土上陸と外交問題が新聞を賑わせている。これらの問題は単発的、偶発的に起こっている問題ではない。今回は、日本を揺るがすメガトレンドについて独自の視点で考えたい。

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2010年

10月

27日

プロ野球とTV中継

 今年の日本シリーズは中日対ロッテである。しかしながら、「地上波の全国中継なし」が数試合あるらしい。以前であれば、日本シリーズはカードに限らず、全試合を全国中継していたが、今は視聴率を取れないということであろう。考えてみれば、関西において、以前は毎試合TV中継していた巨人戦も激減した。なぜ、プロ野球のTV中継は減ったのであろか?もちろん、TV局側から考えれば、視聴率が取れないからである。なぜ視聴率が取れなくなったのか?今回はこれを独自の視点で考えてみた。

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2010年

10月

22日

「出来ること」と「出来ないこと」

 今日は超渋滞もあり、12時間ほど車中で過ごしたため、「出来ないこと」について考えてみた。人とは不思議なもので、「自分の出来ること」と「他人の出来ないこと」は山ほど出てくるが、「自分の出来ないこと」と「他人の出来ること」はなかなか出てこないものである。いかに人間が自己中心的かを物語るものである。

 

 私には「出来ないこと」がたくさんある。例えば、スキー、ゴルフ、料理、人の話を長時間聞くこと、いつも同じ気持ちを持続すること(気分屋)、歴史や地理の話、重いものを持つこと(腰痛のため)、商品知識が不足しているため知らない商品を営業すること、などなど、が出来ない。最初は全く出てこなかったが、よく考えれば、いくらでも出てきた。

 

 これよりも出てこないのが、「他人が出来ること」である。他人とは会社の同僚や家族、友人などであり、自分以外の人間という意味である。家族や友人は比較的出てくるかもしれないが、会社の同僚や上司といった場合、なかなか「出来ること」が出てこないのではないだろうか?いや、正確には「出てくる人」と「出てこない人」がいるが、圧倒的に後者が多いのではないだろうか?

 

 「出てくる人」と「出てこない人」を分けるものは何か?考えてみると、私は、自分自身が「認めた人」かどうかが分岐点である。認めた人、尊敬する人についてはいくらでも「他人が出来ること」が出てくるが、反対に認めていない人、まったく見下している人については、「他人が出来ること」が出てこないのである。しかし、この考え方、この習性はまったくの間違いである。悪いところは誰にでもあるし、良いところも誰にでもあるのである。だから、会社の同僚の良いところを見つけることが出来ないのであれば、それは私自身に見る目がないのである。

 

 人は「出来ないこと」あるいは「出来ていないこと」を指摘されると、当然に自分を守る体勢に入る。しかし、「出来ること」あるいは「出来ていること」をほめられると、非常に気分がよくなり、自分の心のハードルを下げるのである。人との信頼関係を築くためには、自己中ではいけないのである。

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2010年

10月

17日

企業の生産活動の海外移転

 企業の生産活動の海外移転が加速している。日産や三菱自動車は海外生産したものを日本へ逆輸入して販売する計画が発表されている。最近の円高により企業の為替リスクが増大しており、このことも企業の海外生産への動機につながるであろうが、生産地の海外移転は構造的なメガトレンドと言える。

 

 企業が生産地を海外移転する大きな動機はコスト削減である。日本の生産地としての魅力は低下している一方で、アジアをはじめとした新興国においては人件費の安さだけではなく、活発な企業誘致や優遇策を取っている。ではなぜ、企業は今、抜本的なコスト削減に迫られているのか?これは企業の競争の構図が変化しているからである。

 

(第1フェーズ)先進国企業 VS 先進国企業  市場:先進国
(第2フェーズ)先進国企業 VS 新興国企業  市場:先進国
(第3フェーズ)先進国企業 VS 新興国企業  市場:新興国

 

 上記の第1フェーズと第2フェーズは市場が先進国である。新興国に比して所得の高い先進国のニーズは高品質の製品であり、価格は先進国で生産するレベルである。第2フェーズにおいて、新興国企業が低価格モデルで市場参入を果たすが、短期間で大きなシェアを取ることは難しい。競争の構図が大きく変わるのは第3フェーズの市場が経済成長を続ける新興国になるときである。新興国の消費者は高品質の製品を求めていない。普及期前後であれば、安い汎用品(低級品)のニーズがボリューム層を構成している。そこでは地元企業のコスト競争力が高い。市場が小さい時期においては、先進国企業もそれに追随しないが、市場が拡大してくると看過できなくなる。そしてボリューム市場に参入するために、抜本的なコスト削減が必要になってくる。その象徴的な動きが自国ではない、コストの安い国における生産である。

 

 例えば、自動車産業ではこうである。新興国の自動車産業においては、初期に外資メーカーが生産地や販売先として参入する。次第に自動車の販売が増加していくが、購入できるのは一握りの富裕層だけである。新興国のローカルメーカーは最低限の技術力を付け、低価格車を市場に投入する。自動車産業は周辺産業も含め、多くの雇用を生むため、国の全面的なバックアップが取られやすい。補助金や税金低減、他国に対する関税などである。これらにより市場が拡大し、将来的な潜在力の増大が見込まれてくれば、既に参入している外資メーカーや未参入メーカーはそれらを看過できなくなってくる。ローカルメーカーの低価格品に引っ張られて、低級モデルの価格は引き下がる。一部中級モデルも低級モデルとの価格差の縮小の動きが取られる。外資メーカーは売れる販売価格を設定し、それに合わせたコストへ近づけていく。生産に関するコストの大きなものは人件費や鉄鋼を含めた部品費である。それは人件費の安い国への工場立地、生産拡大を促し、部品はグローバル調達に向かう。自動車産業のような問題をどの業界も抱えており、生産の海外立地と部品のグローバル調達は製造業、とりわけ組立メーカーにとっての必要不可欠なトレンドとなっている。

 

 現在は競争の場がアジアを中心とした新興国に移っているのである。それを促したのがリーマン・ショックである。リーマン・ショックにより、欧米市場の経済成長の鈍化、そしてその状態の長期化の見込み、それに対して国内経済市場の拡大により立ち直りの早かったアジア市場に先進国企業がなだれ込んでいるのである。アジアは中国、インドを中心とした莫大な人口を抱えている。これに所得の増加が続けば、すぐに欧米市場に匹敵するポテンシャルを持つ市場に化けるのである。

 

 さて日本である。高コストとして思い浮かぶのが人件費、社会保障費負担、税金であろう。人件費については、派遣法改正により派遣社員が使えなくなるため、さらにコスト高を招く。将来的に考えても、少子化による人口減少は当然に労働力人口の減少を招くため、労働コストは上昇する。加えて、高齢化により企業が負担する社会保障費もまだまだ増加する。税金については、40%の実効税率は他の先進国やアジア新興国と比べて高い。税率の高い国で利益を計上することは、他国の企業と比べてそれだけでも不利になる。そして、鉄鋼は中国をはじめとした海外メーカーの競争力が高く、輸入する場合、輸送コストが割高となってしまう。鉄鋼、汎用部品、鉱物資源を輸入している日本においては、できるだけそれらの資源の近くに立地することが有利になるのである。

 

 今後、日本市場が縮小する中で、企業が国内生産を続けるメリットはさらに低下する。一部の高品質な製品は残ることを期待したいが、それも分からないのである。しかしそれにより、日本が積み上げてきた技術力を喪失してしまうことはなんとしても避けなければならない。それは私たち1人1人が考えていく問題であり、政治に期待してはいけないのである。

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2010年

10月

14日

ビジネス能力の評価指標としての給料

 我々は会社に勤めていれば、その働きに対して、会社から給料が支払われる。この給料というものは、ほとんどの人は「もう少しほしい!」という願望を持つものであるが、通常はその給料で生活をまわし、その給料にある程度は納得して働いている。給料において、不満が出る多くのケースは、他の人と比べたときであり、その最たるものが同じ会社の人間との比較においてである。例えば、35歳である西さんは年収が450万円であり、会社でも一定の評価をもらって仕事をしている。給料については、不満はあるものの、仕事にはやりがいを感じている。ある時、ひょんなことから、同僚である同年齢の山さんの給与が550万円であることを知ってしまった。山さんはどう考えても、自分より仕事ができない。しかし、自分よりも多くの給料をもらっている・・・。

 

 このようなケースは大いに自尊心を傷つけられるため、到底納得いかず、最悪の場合は退職に至る。「仕事は好き」なのに、である。実は私は恥ずかしながら、同じような経験がある。会社で予算編成をしていたことがあり、すべての従業員の給料を知る立場になり、同年齢の低能力者が自分よりも○○○万円も多い給料を得ていることを知ったときは、かなり自尊心を傷つけられ、悔しい思いをした。しかし、本来、それは間違いである。

 

 給料とは自分の仕事に対する会社の「絶対的評価指標」である。従業員は、自分の給料が自分の能力に対する評価であることを知っているが、他人と比べてそれが低い場合、大抵不満が出るものである。人間は自分が一番であると思う動物であり、よほど自分と差があると自分自身で認められない限り(差は能力や年齢、実績など)、会社の自分に対する過小評価を感じるものである。

 

 給料に対する不満とは多くの場合、給料自体ではなく、自分の過小評価に対するものであることに注意を要する。多くの人は、現在の会社で得ている給料が自分の適正値がどうかを考える。自分が労働市場に出た場合、いったいいくらの価格が付くのか?上がるのか、下がるのか?

 

 景気が良ければ、その疑問に対してポジティブになり、景気が悪ければネガティブになるであろう。当然、好景気の場合は、好景気だからではなく、自分の能力が適正に評価されるからであり、不景気の場合は、自分の能力は十分に高いが、景気が悪いせいで、過小評価されることにつながると考える。

 

 しかし個人個人における会社から支払われる給料は、その人自身の能力だけで決まる単純なものではない。個人の給料を決める要素は、入社時期、勤務歴、職種、職業能力、やる気、将来性、雰囲気などや上司から見た好き嫌いも含まれる。だから、給料は純粋に職業能力では決まらないものである。もちろん給料は会社から見た「総合指標」であることには変わりはない。

 

 ここで個人として目指すのは、その会社で給料を上げることではなく、労働市場における自分の価値のはずである。その絶対的自信があれば、その会社を辞めることは難しくないはずである。逆に、その会社に依存しながら、かつ高い給料を求めても無駄である。まずは自分の独立心を養い、どこででもやっていける「自分」を作り上げるべきである。「会社への依存」と「高い給料を獲得できる自分」はトレードオフになる。

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2010年

10月

07日

熱すぎる結束力!

 今日は松山市の秋季大祭りのイベントである「鉢合わせ」を見学してきた。「鉢合わせ」とは神輿同士をぶつけ合うものである。私が見学したエリアは、町単位(あるいは地域単位)で5つの町がそれぞれの神輿とメンバーを持つ。神輿は50名程度でかつぎ、それをぶつけ合う様は、迫力満点である。私の知人がその主要メンバーであり、初めてその本番を見に行ったのである。朝4時に現場に到着したが、既に熱気ムンムンである。

 

 そこで注目すべきは、その神輿を担ぐ組織の結束力である。彼らの目標は「相手町に勝つこと」であり、そのことにより「大将を男にすること」である。「鉢合わせ」自体は、勝ち負けのない勝負であるが、満足なパフォーマンスを出して、相手町の神輿を弾き飛ばしたいのである。その「鉢合わせ」の前に、神社から神輿を出す「宮出し」を各町が順番にするのであるが、そのときから一つの目標に向かう組織になっている。

 

 彼らはそれにより報酬が貰えるわけでも、上司に命令されたわけでもない、純粋なボランティアである。だから、結果がどうであろうと、彼ら自身に「損得」は関係ないのである。しかしながら、その結束力は強く、一般企業にマネのできないものであろう。彼らは自分の「頑張り」あるいは「気合」が、どれだけ組織の結果に直結するかを知っている。そこでは「自分くらい手を抜いても」とか「しんどいから」といった世界は無縁である。全員が全力を出し、一体化するのである。それは見ていて、私自身がその組織に属したいという衝動にも駆られるほど魅力的である。

 

 団結力という点では、甲子園に出場する高校野球チームにおけるそれもすばらしいものであろう。特にそのチームのエースは、自分の将来もかえりみず、何連投になっても、そのチームに対する献身性を持つ。それが良いか悪いかは、個人個人により見方は異なるであろうが、彼らはとにかくそのチームの目標に貢献することが、その時点では最も欲するものなのである。

 

 これらのことは、モチベーション管理やほめて育てるといったものではなく、組織の結束力に必要なものは、その構成員を興奮させ、心を燃焼させることであることを教えてくれる。そして一度、その「雰囲気」を持った組織になれば、各構成員にとって、その組織はかけがえのないものになる。そうなるためには、各構成員が、その組織に確固とした自らの存在場所を自認し、自分の力の巧拙がいかに組織の力を変えるのかという「自分の義務、責任感」を感じることである。加えて、燃える構成員同士が連鎖反応を引き起こし、さらに燃える組織へと循環させていく。最終的には、その組織に身を置いていること、そしてその組織と時間を共有することが、自分自身の最大の喜びにも転化する。結局、「自分のゴール=組織のゴール」になる。

 

 そしてその組織のリーダーには、全構成員からの尊敬を集めるだけの力量が必須である。組織はそのリーダーが引っ張り、そのリーダーを全構成員が支える。今日は、すばらしい組織力を見て、非常に心が洗われました。松山市の皆様、ありがとうございました。

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2010年

10月

02日

禁煙の困難度

 久しぶりの更新となりました。さて、10月1日よりタバコの値上げが実施され、概ね1箱100円程度、価格が上がったようである。通常ユーザーは1日1箱前後吸うのであろうが、そうであれば100円×365日=36,500円、年間36,500円のコストの負担となる。これを機会にやめる人も多いようである。やめれば、410円×365日=149,650円のコスト負担が減る。結構な額である。

 

 ところで近い将来やめようと決意した人が多いのは事実であるが、とりあえず何カートンかを買いだめした人が私の周りでは多い。それがなくなれば・・・となるかどうかは分からない。ではなぜ、タバコはかくもやめられないものなのか?やめる対象として、タバコに近いものは酒、パチンコや競馬などのギャンブルなどがある。酒やタバコは健康面、ギャンブルは経済面でやめる人が多い。私が考える「タバコをやめることができない理由」は以下である。

 

・いつでもどこでも買える、小額で元の状態(喫煙者)に戻ることができる
・目に見えて、現在の状況(健康面、経済面)が損なわれるわけではない
・意思が弱い
・単純にタバコ好き(依存症)

 

 理由は色々あるが、タバコをやめることを困難にしている大きな理由の1つは、「自分の習慣を変える」ことの難しさなのではないかと思う。人はどんなときにタバコを吸うのかを考えると、休憩、食事の後、酒の席、考え事をするとき、仕事の帰り道など、自分の間を取る道具になっていることが分かる。タバコがほしいのか、自分の間がほしいのか?である。例えば、多くの人は喫茶やカフェで休憩したり時間をつぶすときにコーヒーを飲むが、「コーヒーが飲みたい」のではなく、「休憩したいからコーヒーを飲む」のである。タバコも同じ要素を持っている。「タバコを吸いたい」のではなく、「休憩したいからタバコを吸う」という人が多いのではないか?確かに、タバコには精神をリラックスさせる効果があるため(医学的に立証されたかどうかは知りません)、イライラを沈めるために吸う人もいるが、本当にそうなのか?タバコを吸う「間」を取ることで、落ち着くことができるからではないのか?

 

 いずれにせよ、習慣を変えることは、自分の今までの生活リズムの変更を迫られる。つまり、慣れるまでは「普通の状態」にないわけである。人間は慣れない場所よりも慣れた場所が落ち着くのは当たり前の話である。毎日テレビやゲームばかりしていた子供が机に向かって勉強することを習慣づけするのは、年齢を重ねるほど難しい。タバコも同じである。大人が自分の習慣を変えることには、大きな理由が必要なのである。

 

 だから一時の思いつきで禁煙を宣言した人の成功率は極めて低くなる。逆に、深刻度が高ければ高いほど、その成功率は高まる。実のところ、私は13年前にタバコをやめている。私は決意してすぐにやめることができた。やめた理由は、タバコ会社がサルに24時間タバコを吸わせるという実験をしていることを知ったからである。健康的理由でも経済的理由でもないため、私のケースは特殊かもしれないが。いずれにせよ、値上げはやめるきっかけとはなるが、その価格に慣れてしまえば、それが普通になり、なにも感じなくなるのもまた人の常である。喉もと過ぎればなんとか、である。やめるには強烈な理由を作ることが最善である。

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2010年

9月

25日

大卒者と高卒者の就職における選択肢

 2008年以降の不景気拡大により、高校生や大学生の就職環境は非常に厳しいものになっているようである。バブル崩壊後の就職氷河期と呼ばれた時代もあったが、今回の就職難はそのときよりもひどい状態であると言われている。企業収益が改善した2005年頃の状況とは雲泥の差である。

 

 ところで最近の大学進学率は、男性55%、女性も短大を含めて55%と進学率はすこぶる高くなっている。私は1971年3月生まれであるが、私が卒業した1989年頃においては概ね1/3の進学率である。最近は大学以外にも専門学校への進学も多く、高卒で就職するのは2割に満たない。過半数の進学率となると、義務教育の延長線上に近く、一昔前の「勉強のできる人」や「賢い人」がいくイメージはほとんどない。

 

 出生数は1971~1974年が団塊ジュニアのピークであり、毎年200万人を超えていたが、その後年々減少し、2011年で18歳になる者は概ね1993年生まれ、119万人が対象となる。ピークの6割である。2009年の出生数は107万人であり、将来さらに生徒は減少する。ところが、大学数は、1990年の507校から2008年の765校へ増加している。1990年時点で出生数は122万人となっており、この先、生徒数が減少するのが分かっていたはずであるが、増加しているのである。市場が縮小する中での、市場参入であり、おおいにベンチャー精神あふれる行動である。

 

 ここで疑問であるが、なぜ多くの人が大学に進学するのか?である。理由は色々考えられるが、以下のものを考えてみた。

 

①勉強が好きだから、大学でやりたいことがある、又は進みたい職業を決めているから
②良い会社に、良い条件で就職したいから
③4年間で社会勉強やサークル活動など自分自身を高めたいから
④親が行けと言うから、又はみんな行くから

 

 ①は少数派であろう。高校卒業時に明確に進路を決めている人は少なく、自分に何が向いているのか、何をしたいのか、が分からない者がほとんどだからだからである。いわゆる日本の暗記勉強が好きな人も多いとは思えない。②は少なからず、多くの者、そして親が認識していることであろう。③は明確に意識されるというよりも、大学に進学するための、後づけの追加理由にあげられる程度のものである。私は、④が最も多いと推測する。なぜなら、①のように真剣に頭を使って考える必要もなく、周りに流されることは精神的に楽だからである。

 

 大学進学の真の動機はさておき、大卒資格を得ることで、就職について有利になることは明白である。高校卒業と大学卒業では、就職の選択肢がまったく異なるし、その与えられるステージも大きく異なる。詳しくは、「卒業生の進路」という資料を見てもらいたい(ファイルはトレンド・トピックスに掲載)。例えば、職業別の進路において、高卒者は約半数が「生産工程・労務作業者」であるのに対し、大卒者は1%に満たない。特に高卒男子は約2/3が「生産工程・労務作業者」である。そして産業別に見ると、高卒者の44%が製造業、若者が憧れる情報通信業はたったの1%、硬い職業のイメージである金融業・保険業も1%しかない。また同じ金融業でも、高卒者と大卒者において仕事の内容が異なることが想像できる。例えば、高卒者の就職する建設業は地元の下請企業が多く、大卒者の就職するそれは大手ゼネコンであろう。このように職業、産業で見ると、高卒者の選択できる範囲は限定されており、大きく偏りがある。誤解を恐れずに言えば、高卒者の就職環境には、大卒者に比べて「夢がない」のである。

 

 ではなぜ、企業は大卒者を優遇するのか?大手企業は製造現場を除き、大卒者限定の採用であるし、中小企業には大卒者が入社すれば「幹部候補」などと呼び優遇する例は多い。それほどまでに、高卒者と大卒者の能力格差は存在するのか?私も多くの大卒者や高卒者と触れ合ってきたが、そのような能力格差があるとは到底思えない。ビジネスの能力は学歴ではなく、その人自身のやる気や向上心にかかっているはずである。それらが、大卒者がより多く持っているとも思えない。4年間にわたり、専門的なことを勉強しているが、すっかり忘れているか、実務に応用できない場合が多いのではないか?

 

 もちろん採用する方からすれば、18歳よりも22歳の方が、それだけ年齢を重ねているため、社会常識を多く身につけているため、教育が楽である側面はあろう。10代後半、20代前半は人格形成や職業意識において、非常に重要な時期であり、その4年間の違いは大きい。しかしそれらは、大学に行かなくても入手できるものである。例えば、高校卒業後、企業で4年間勤めた者と大卒者は同じ22歳だとしよう。この2人の職業、企業の選択肢はどちらが多いか?現実的には後者なのである。加えて言えば、高校、大学における教育が企業の望むものと大きくかけ離れていることは問題である。

 

 それでは、大卒者がそれらの有利な就職条件を獲得するために支払うコストはいくらになるのか?これは、公立か私立か、自宅から通うのか下宿か、によっても大きく異なるが、簡単に計算してみた。

 

①大学費用=100万円(入学関連費用)+5万円(月額授業料)×48ヶ月=340万円
②生活コスト=6万円(家賃、生活費等)×48ヶ月=288万円
③就職回避の機会損失=250万円/年×4年=1000万円
340万+288万+1000万=1628万円

 

 合計がいくらになるかは各人によって異なるであろうが、概ね1500~2000万円程度のコストがかかると推測する。これによって得られる対価は高いのか、それとも低いのか?「大学で学ぶもの+大学卒業で得られる就職選択の拡大」にそれだけの価値があるのか?また国家として考えても、有能な人材を質が高いとはいえない大学教育に取られ、コスト対効果の薄い期間を過ごさせることが真に有益か?全く異なるコンセプトの教育が必要であり、ビジネスチャンスにもつながる。規制の多い業界であるが、新しいビジネス、日本が求める教育の形を提供するビジネスを考えたいものである。

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2010年

9月

20日

国の借金=国民の借金?

 とにかく日本の財政は大変な状態になっているらしい。それもそのはずで、今年度も歳出の半分以下の税収しかなく、借金をして歳出を賄っている。国債関連費(利払いと償却)は歳出の中でも負担が大きく、今後社会保障費関連の負担はまだまだ増加するし、さらに政府はバラまきが大好きである。集票のためには、バラまきが一番とばかりに、自分のことばかり考える政治家が多くて、我々国民も幸せである。

 

 ところで、日本の借金に関する報道では、「国の借金は900兆円を超え、国民1人あたりの借金は700万円にのぼる」といったものが多い。「国の借金=国民の借金」ではないはずだし、700万円も支払うことの出来る人は1割にも満たないであろう。本当に我々はそんな借金を負担しなければならないのか?今回はこのメガトレンドを考えてみる。

 

 ここで国の借金を国債(地方債を含む)と言い換える。では、国債を買っているのは誰か?日本は諸外国と比べて対外債務(外国への借金)が少なく、国債は国内で消化されている。その国債を買っているのは、金融機関である。直近の財務情報を見ると、三井住友銀行は17兆円、三菱東京UFJ銀行は40兆円、農協は15兆円を保有している。さらに驚愕するのは、ゆうちょ銀行の161兆円、かんぽ生命の73兆円の巨額さである。ゆうちょ銀行は176兆円の預金(国民がゆうちょに預けているお金)のうち、9割以上を国債に振り向け、かんぽ生命は101兆円の総資産の72%を国債に投資している。ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、国民の預金・投資に対して「はなっから」十分な収益を上げる気はなく、もっと言えば国による横領に近いのではないか?こんなところに預金をしてはいけない。

 

 話を戻そう。そこで疑問に持つのは、短期の国債の利子は0.1~0.2%、10年もので1%程度の利子しか生まない資産になぜ投資できるのか?である。考えてみると、金融機関は、国民、企業の預金を使用して、企業へ貸し付けたり、有価証券や国債に投資をする。金融機関から見れば、預金は仕入れである。その預金の利子は0.03%、ほとんどただである。仕入れがただ同然であれば、低リターンの国債でも金融機関は利益が出てしまう。例えば、三菱東京UFJは40兆円の国債への投資により、単純計算で「0.2%-0.03%=0.17%」、680億の利ざやが出る。なぜ仕入れが「ただ」かというと、国が金利を下げているからである。ということは、国は金融機関の仕入れコストを下げてあげ、そのかわり国債を買ってもらうという話になる。であれば、国民から標準的な利子相当分を毎年まきあげているに等しいのでは?

 

 もう一つ、金融機関にとって国債投資の都合がよいのは、国債がノーリスク資産であり、自己資本比率の計算上、国債は分母に算入されないため、リスクのある中小企業への貸し出しよりもメリットが大きいことがあげられる。どの程度の効果があるのかは把握していないが、いたずらに中小企業に融資して、焦げ付くよりは、国債投資は楽な商売である。

 

 そして国債が暴落すれば、大量に国債を保有している金融機関はどうなるのか?である。特に怪しいのが、ゆうちょ銀行、かんぽ生命である。ゆうちょ銀行の自己資本比率は4%であり、総資産の8割以上を国債に投資しており、かんぽ生命は自己資本比率が1%であり、資産の7割以上を国債に投資していることから、どちらもあっという間に債務超過である。国が資本増強するにも、国は国債の暴落のため、高金利を負担しなければ、資金調達できず、資本注入できない。そのとき国はどんな対応が取れるのか?日本は経済的に大きな国であり、IMFが支援できるのか?アメリカは助けてくれるのか?

 

 いずれにせよ、国債が暴落すれば、日本国は低コストの資金調達ができないわけであるから、歳入を増やす増税、又は歳出を減らす公共サービスの削減を迫られる。いずれにせよ、そのしわ寄せは国民、企業にある。結論から言えば、やっぱり「国の借金≒国民の借金」なのである。国に依存しない人生設計が必要である。

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2010年

9月

18日

景気の良い世界とは?

 経済関連のニュースは「景気が悪い」のオンパレードである。マスコミが景気が悪いといえばいうほど、世間もそういう気分が醸成されていく。新聞も雑誌も売るのが仕事だし、テレビ番組も視聴率で広告収入が欲しいのは分かるが、マスコミ自身のシグナル効果は極めて危険である。それはさておき、現在は「景気が悪い」わけであるが、逆に「景気が良い世界」とはどんな世界であろうか?

 

 日本は1991年のバブル崩壊以来、株価や土地などの資産価格の下落、リストラ、不良債権処理、失業率上昇などなど、長年にわたる不景気を経験してきた。しかし、およそ2003年から2007年にかけて、小泉景気やデジタル景気などと呼ばれる久しぶりの景気の上昇をつかんだ。きっかけは住宅関連を契機とするアメリカの好景気であり、簡単に言えば以下のような好循環があったのであろう。

 

アメリカの好景気 ⇒ 日本国内の在庫調整の進展 ⇒ 生産活動の上昇 ⇒ 雇用増加 ⇒ 全体所得の増加 ⇒ 内需の回復 ⇒ 企業収益の回復 ⇒ 投資の再開 ⇒ 生産活動・雇用・所得増加、内需回復など好景気へ

 

 そこで自分なりに「景気の良い世界」を定義してみた。私が考える条件は以下の3つである。


①みんなに仕事がある(=失業率が2~3%)
②実質所得が少しずつ上がる
③国、自分の将来に対する不安が少ない(①と②+αによって感じること)

 

 もちろん、この他にも色々な条件や要因が考えられるが、人々が景気が良いという「気分」になり、取引活動を行う意欲を持つのは、「目の前のお金」と「将来得られるであろうと考えるお金」の影響が大きいであろう。2003~2007年にかけてはこれに近い状態になっていたと想像する。しかし、もしそうであれば、当分、好景気を構成する3条件が揃うのは難しいことに気づく。以下、私なりに検証してみた。

 

①みんなに仕事がある
・景気拡大局面の失業率の低下はみかけだけに過ぎない
・非正規雇用の拡大により、低下していただけであり、雇用不安定状態(失業者+非正規雇用者)にある者は急拡大している
・該当期間において企業は正規雇用(正社員)を増やしていない
・海外生産が増加する製造業、公共投資が減少する建設業は近い将来において雇用吸収力が低い
・サービス業は低生産性業界のため収益性が低く、正社員を雇用する体力はなく、高生産性企業は多くの正社員を必要としない
・結局、今後も正規雇用が増える可能性は低い
・現在の完全失業者数350万人前後に加えて、25~54歳の男性の非正規雇用者は約200万人
・ということは、みんなに仕事がある世界はバブル崩壊後のリストラ時代以降、なくなっていると考えるべきである
・新産業で雇用を創造するとしても、例えば電気自動車や環境技術、ナノテクなどで100万人規模の正規雇用者の増加が本当に可能か?

 

②実質所得が少しずつ上がる
・名目所得が同じであれば、デフレでも実質所得はあがる
・雇用が減少する可能性が高いため、全体所得が増加することは考えにくい
・今後ますます社会保障費負担が増え、加えて失業率の上昇により、「負担する者の負担」が増加する
・名目所得が増えず、負担だけが増えるため、実質所得は減少する

 

③国、自分の将来に対する不安が少ない
・財政破綻状態の日本
・世界に遅れを取り、存在感を失いつつある日本
・超高齢化、若者のいない世界、年金に対するあきらめ、マイペースを貫くのん気な政治家など、不安はこれからも増大する可能性が高い
・とすると将来の不安に備えた貯蓄へ所得が回ってしまう

 

 私の考えは悲観論過ぎると自分でも感じる。しかしながら、好景気をつくるのは気分であり、気分が経済を好循環させ、その好循環がさらに好循環を呼ぶ。気分により株価も上がり、消費も刺激される。私も、みんなの気分を変えるような事業、製品、サービスを考えていきます。

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2010年

9月

15日

イチローと松井を分けるもの

 今日は、「エンゼルスGMが松井選手を期待外れと認める」とのヤフーニュースを見たので、それを題材に考えてみたい。野茂投手の挑戦以降、多くの日本人プロ野球選手がアメリカのメジャーリーグでプレーしている。しかしながら、厳しい世界であり、日本人選手で活躍したと言えるのは、投手では野茂、野手ではイチロー、松井くらいであろうか。そこそこの成績を収めた選手は多いが、その好成績を続けるのは難しい。

 

 しかしその松井も今年は成績が振るわず、報道によれば、来期は別チームでのプレーとなりそうである。イチローも松井もどちらもメジャーリーグで実績を残したすばらしい選手であるが、2人の間には大きな差が存在すると思う。それは好不調の波の大きさであろう。イチローは好不調の波が小さいのに対し、松井は昨年の終盤の活躍のように、爆発するとすさまじいが、その好調が長期間持続しない。4割打つ月もあれば、2割程度しか打たない月があるように、その波は激しい。統計学的には、松井は標準偏差が大きく、裾野が広いのである。かつ、若干左に歪んだ分布であり、調子の悪いときの数字は彼の実力では考えられないほど極端に低くなる。特に近年その傾向が強く、以前とは異なるため、怪我の影響等があるのであろう。

 

 おそらくイチローはほぼ左右対称の分布であり、標準偏差が小さく、尖度(分布の尖り具合)が大きい。よって成績が安定しているため、シーズンを通して3割を下回ったことがないし、不調の期間が総じて短い。

 

 スポーツ選手においては、この安定した成績を収めることができるかどうかが、一流とそれ以外を分けることになる。一流と言われる人は、総じて成績の高低が少なく、終わってみれば、毎年、一流の成績を残している。プロ野球では、例えば、巨人のラミレスや小笠原、阪神の金本、中日の和田、西武の中島、日本ハムの稲葉が打者では思い浮かぶ。これに対して、一流でない選手は、この好成績を数年間続けることが出来なかったり、数ヶ月間だけうそのように打つだけで終わってしまう。新人王を取ったが、後は泣かず飛ばずの選手は数えればきりがないであろう。結局は、いかに確率(打率)を高めながらバラつきを小さく(好不調の波)するかが問われるのである。私自身も、高い平均値と高い精度のアウトプットを目指したい。

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2010年

9月

11日

少子高齢化の構造分析

 今日は、表題の資料を朝からずっと作成していました。少子高齢化はメガトレンド中のメガトレンドであり、その構造の分析はかなり面白かったです。以前からずっと分析の結果をまとめる構想を持っていましたが、かなり遅くなりました。今日の作業についても、かなり時間を所要して結局夜までかかりましたが、自分では自信作であり、かなり深い洞察ができたのではないかと思っています。統計分析だけではなく、その意味、背景、示唆その他諸々相当に考えました。意見下さい。

 ファイルは、「トレンド・トピックス」にアップしました。

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2010年

9月

08日

生活者の実効税率

 今回は税金について、独自の視点で書きます。税率等は私の感覚で書いているため、必ずしも正しい数字ではないかもしれません。さて、我々は生活するうえで、たくさんの税金を払っている。給料から源泉徴収される所得税、住民税、買い物をすればかかる消費税、車を持っている人には毎年の重量税や購入時の取得税、不動産については固定資産税や購入時の取得税、ガソリン税、タバコ税、酒税などなど。健康保険料はまだしも、厚生年金も払う者からすれば税金と同様であり、高速道路の通行料(海外はフリーウェイでほとんどが無料)、NHKの受信料、ゴルフのプレーや銭湯に入るのにも、国にお金を取られている。

 

 考えてみると、直接払っていると認識しているのは源泉所得税と消費税がメインとなるが、源泉所得税は勝手にその金額が抜かれているため、意外と税率を意識している人は少ないようだ。所得水準や家族構成などによるが、年収600万程度の人で、税金と社会保障費を合わせて20%前後を支払っているはずである。簡単に、年間に払っている税金等(国に取られている金額)の金額をシュミレーションしてみると・・・。

 

所得 6,000,000円
源泉所得税、社会保障費 △1,200,000(20%で計算)
固定資産税 △200,000(持ち家の場合)
消費税 △72,000(可処分所得×30%を課税される買い物と仮定)
重量税等 △50,000(車所有の場合)
差し引き 4,478,000

 

 ざっと給料の25%を国に取られている。これに上記に書いた様々な税金を加えると、さらに実効税率は高くなる。ここで注意しなければならないのは、我々が購入する商品や利用するサービスを提供する企業はすべてこれらの税金等を払っているということである。即ち、企業が負担している税金等は、価格に上乗せされているという事実である。例えばスーパーマーケットを想像すると、従業員に対する法定の社会保障費用(正社員で給与の15%程度になる)、店舗の土地及び建物の固定資産税(借家の場合は消費税)、企業の利益から支払われる法人税等、取引先と契約を結ぶ場合の印紙税(小額であるが)などを企業は支払っており、それを負担するための価格設定が当然なされているわけである。

 

 これらの間接的な税金を計算すれば、生活者の実効税率なるものが計算できるが、一体どの程度の税率になるであろうか?現在、新聞等で法人税低減の議論がなされているというニュースを聞くが、法人税の低減化は企業だけではなく、消費者にも大きな影響を与えるものである。

 

 いっこうに良いきざしの見えない経済、迷走を続ける政治、財政破綻状態にある国、などを考えると、「自分の身は自分で守る」、という気概が必要ですね。

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2010年

9月

04日

絶対的評価と相対的評価

 新聞、ニュースのトップ記事は民主党の代表選でもちきりである。連日、円高、株安で企業は悲鳴をあげているが、政治の世界はマイペースである。代表選は菅さんと小沢さんの一騎打ちである。各マスコミは菅さんと小沢さんのどちらがよいかの世論調査をしているが菅さんの圧勝のようである。

 

 ここで違和感があるのは、菅さんは首相としての評価は低いはずである、という事実である。実は評価には2つの方法が存在する。菅さんの首相としての評価は絶対的評価がなされており、代表選においては小沢さんとの相対的評価がなされているわけである。絶対的評価とは、他とは比べない、そのもの自体の評価であり、相対的評価とは他と比べた評価である。すなわち、菅さんは首相としての絶対的評価は低いが、小沢さんと比べた相対的評価は高いわけである。国民が評価する視点が異なるのである。

 

 小沢さんについて、国民は菅さんとの相対的評価はしていない。絶対的評価において、「嫌い」なのである。だから小沢さんが相対的評価を受けるためには、同じくらい嫌われている人と戦うことが必要になってしまう。無論、選挙において、好き嫌いで判断することは好ましいことではないが・・・。このイメージをつくったのはマスコミであり、真偽はよく分からない。

 

 選挙における投票において、国民は無意識に相対的評価をしていることが多い。例えば、昨年の衆議院選挙においては、自民党のあまりの迷走ぶりによって、民主党の相対的評価が向上し、圧勝した。ここで重要なことは、民主党について国民の絶対的評価が高かったわけではない、ということである。しかし、民主党は政権を取り、その時点から国民の絶対的評価にさらされることになる。その結果として、今年の参議院選挙において、みんなの党の民主党に比べた相対的評価が向上し、みんなの党の躍進につながっている。ここでも国民はみんなの党の絶対的評価を下したわけでないのである。アジェンダってなんじゃ?ってなものである。結局は消去法に基づく投票行動なのである。

 

 しかしながら、選挙に勝った、あるいは望ましい結果を得た政党はこの相対的評価と絶対的評価を混同している場合が多いのでないか?国民から見て、政党や立候補者は、選挙のときだけ気前のいい話を繰り返し、みんな言っていることはたいして変わらない、と思っているのではないのか?言い換えると、絶対的に高い評価を得ている政治家がほとんどいないという事実である。「短期視点の国民」のことを考えるではなく、「長期視点の国」のことを考える政治家を国民は本当に待っている、と思う。

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2010年

9月

01日

駆け込み需要

 今日も独自の視点で語ります。今日のニュースで「エコカー補助金終了前の駆け込み需要により、8月の新車販売が前年同月比46.7%増になった」との報道があった。朝、新聞で「10月からタバコの値上がりが実施されるため、値上がり前の駆け込み需要に対応するためのコンビニの販促について」の記事も読んだ。景気の悪い昨今、駆け込み需要は貴重な売上確保の機会である。

 

 ところで、人々を駆け込み需要に向かわせるものは何であろうか?考えられるのは「今ならお得!」という心理である。例えば、スーパーの店頭で、キットカット(16枚入り)が198円で販売されていれば、通常の値段(348円)を知っている買い物客は「おっ!安い!」と思って購買に至る確率が高まる。ところが毎回198円で販売していれば、「別に今買わなくても良い」ため、購買に至る確率は低くなる可能性がある。すなわち、「今買えば、得である」という、言わば希少価値に人々は引きつけられる。通常の購買は、「必要か」又は「必要でないか」を問いながら購買の決定をするわけであるが、希少価値の「今ならお得!」が付加されると、とにかく「今」買いたい衝動が湧き上がるわけである。

 

 では車の場合はどうであろうか?車を買う場合、初めての購買を除いて、現在車を持っている人が大半であり、想像するに現在の車の車検のタイミングが大きな購買を考えるきっかけになるであろう。「そろそろ車を変えたいな・・・」「あの車かっこいいのでほしいな・・・」とか、「でも身近に大きな出費もいやだなあ・・・」「車を買ったら、年末の海外旅行はボツだな・・・」と考えるわけである。事前に明確に決まっているか、あるいはよほどのお金持ち以外は、そのようなことを悩みながら最終的な決断、「買う」又は「買わない」を決める。そこでエコカー補助金の締め切りが9月末まで、しかも予算がすべて消化すれば終了という事態を知ることになる。人間は余裕があるとき、すなわち決定を先延ばしできる場合は、「今ならお得!」について冷静に考えることができる。スーパーでキットカットを買う場合と異なり、購買金額が大きいため、いくらお得でも、そのための出費にある程度の気持ちが向かうことになる。

 

 ところが、もう時間がない場合、今回で言えば期間があと2ヶ月、しかも明日にでも終わる可能性がある、と追い込まれると、「今ならお得!」から「今買わないと損!」に心理状態が変化するのではないか?人間は、「得すること」の喜びよりも、「損をすること」の後悔、恐怖を避けたい、という感情の方がより強いのではないだろうか?とにかく購買をすることで、「損をすること」を避けたい、だから買うのである。「どうせいつか買うから・・・」、あるいは「車検で整備費用かかるくらいなら新しい車を買った方がいいから・・・」というのは後付けの理由の場合が多いのではないだろうか?

 

 いずれにせよ、駆け込み需要は、「需要の先食い」であり、自動車関連企業も、タバコを売るコンビニも先のことを考えると、ため息かもしれませんね・・・。

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2010年

8月

29日

若者の車離れ

 今回もまた、身近な問題を考えてみたい。最近は新聞やテレビなどで若者が車を買わない「車離れ」が深刻だ、といった論調をよく耳にする。若者とは20代を意味するはずだが、どうして若者は車を買わないのか?真偽は統一されていないようであるが、私なりに考えてみた。

 

 私が若い頃は1990年代が中心となるが、1970年、1980年代も含めて、車は男の憧れであった。1970年代半ばから1986年まで新車販売台数は300万台前後、バブル絶頂の1990年には500万台を超えた。

 

 ではなぜ、車は男の憧れであり、車が欲しかったのであろうか?それは、女性にもてたい、優越感(乗っている自分がかっこいい)、自分だけの空間、疾走感が気持ちいい、といった情緒的な理由が大きかったようだ。またバブルの頃や1980年代、1990年代前半は、お父さんの車=クラウン、セドリック、グロリアといったセダンと、若者の憧れの車=フェアレディZ、スープラ、スカイラインGTR、セリカ、ユーノスロードスター、RX-7といったスポーツカータイプと、はっきり需要が分かれていた。だから若者はこぞって、そういったスポーツカーや「走り、速い」車に惹かれて、それらの車を買い、乗った。そう、「かっこいい」が欲しかったのである。

 

 翻って今はどうだろうか?現在の車はほとんどがファミリーを意識させるものが多く、ワゴンタイプ、高い居住性、機能性を併せ持っている。アルファード、ウィッシュ、フィット、カローラフィールダー、ワゴンRなど、人気の機種はそういった特徴を持っているように考える。加えて、以前は車の中は「楽しい」というコンセプトは希薄であったように思う。もちろん、デートや家族との車の中での会話は楽しかったかもしれないが、テレビもなく、ナビ もなく、電話もなく、機能的で快適な空間からはほど遠く、どちらかというと苦しい場所であったかもしれない。従って、車の中は苦しい場所から楽しい場所に変わったのである。車も機能性が大きな「売り」になるのであれば、スポーツカーは購買されにくくなる。なぜなら多人数は乗れないし、天井が低くなりがちで居住空間も狭く、荷物も少ししか積めないからである。

 

 車は楽しい場所になった一方で、「かっこいいもの」ではなくなっているのかもしれません。ファミリーを意識させるものになった車について、例えば「もてたい!」というニーズを満足させるものではなくなったということである。各社は最近まで各種のスポーツカータイプをラインナップに入れていたが、年々少なくなり、今では数えるほどである。当然、時代背景、価値観の変化、豊かさの意味の変化、男性と女性の関係など多くの要素が影響を与えるために、一概に結論付けることはできません。

 

 一般的に言われる、車が売れない理由として、最近の若者の就職環境の厳しさもあり、所得の低さをあげる声もあるようである。しかし、私が若い頃も、みんな「もてたいから」無理して高い車をローンで買っていた。バブル時代の影響もあるが、当時と現在と若者の所得格差が大きいとは思えない。

 

 結局は公共交通機関も津々浦々まで発達し、飛行機や新幹線も安くなる一方、車は以前に比べても増加したため渋滞が多く、車を買わない理由は「電車を使うのが一番賢い」という冷めた(いやいや賢明な)理由かもしれません・・・。

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2010年

8月

26日

「株価の下落」の意味を考える

 米国の株価も下がっているが、日本の株価も下がる一方である。ニュースや新聞も「株価下落、円高で日本の経済は大変だ~」である。マスコミには、もう少し落ち着いた報道が出来ないのかと、いつも疑問に思う。それはさておき、株価が下がることはそんなに大変なことなのか?「株価が下がる」の意味について考えたい。

 

 これはその主体によって影響が異なり、その影響が波及するメカニズムもまた異なるため、3つの主体に分けて考えたい。
①国民、生活者、消費者(個人)
 国民の中でも、株式を直接保有している人と保有していない人の2通りがある。株式を保有している人(投資信託などへの投資も含む)にとって、株価が下がることは、自らの資産の減少を意味するため、消費意欲の減退につながる。そのことによって、日本経済に対して悪影響を与える。

 

 もう一方の保有していない人はどうか?日本の国民の場合、株式を直接保有している人は増加したとはいえ、過半数の国民は直接的に株式を保有していないであろう。従って、この人たちにとって、株価下落はニュースや報道を見て、「大変だ!」という気持ちになるだけで、資産価値については、直接の影響はない。もちろん、生命保険への加入や、銀行への預金などの資金は、金融機関を通じて株式にも投資されているため、間接的には株式を保有しているといえる。しかしながら、それらの間接的な保有は、例えば生命保険会社の運用益の悪化による分配金の低下や、収益悪化による生命保険の保険料の値上がりなど、個人に対して大きな影響を与えるとは言いがたいものである。それよりもむしろ、株価が下がることによって、企業の資金調達環境が悪化することで、必要な投資ができなくなり、設備投資が減少することによって雇用が減少したり、株価下落によって保有株式に損失が発生したため、業績の悪化した企業が雇用を減少させたり、給与の減額をしたりすることによって受ける影響が、より大きいものとなる。

 

 加えて、株価の停滞が長期にわたった場合、海外から日本へ流入した資金が引き揚げられ、同時に不動産への投資についても関連して引き揚げられることで、不動産価格が下落し、それが不動産を保有する国民の資産価値の下落を招き、消費意欲が減退するというメカニズムも考えられる。

 

②企業(法人)
 第一に、株価の下落は資金調達環境の悪化を意味するため、企業は必要資金を調達することが困難となり、設備投資が減少する。設備投資の減少は、そのもの自体が経済への悪影響を与えることに加え、経済学的には、供給が増加しないため、需要も増加しないことになる。結局は経済を停滞に向かわせる。株価の下落は企業の信用力の低下につながるため、銀行借り入れの困難性も増すことになる。

 

 第二に、日本企業は金融機関や企業グループ内、取引関係において株式の持合いを続けている。株価の下落はこの保有株式の損失の発生となるため、企業業績を悪化させる。企業業績が悪化するため、企業は持ち合い株式の売却に動くため、その株式を発行している企業にとっては安定株主が減少することにつながり、安定経営が脅かされる可能性もある。株価が下がることで大きな資産減少効果を受けるのが銀行である。銀行は株式に損失が発生するため業績が悪化し、自己資本が毀損する。自己資本比率の向上を図るため、リスク資産の減少へ向かい、いわゆる貸し渋りや貸し剥がしなどの行動に出る。従って、株価下落はデット・ファイナンスに対しても影響を与える。

 

 第三に、株価下落により企業価値が減少することは、その企業を買いたい会社にとっては、安く買える格好の機会となる。そのため、株価が下落した企業にとっては、敵対的買収の危険度が上昇することになる。

 

③国家、国
 低調な株価の持続は、海外資金の流入を妨げる。海外資金の流入が減少すれば、株式の商いが減少し、さらに株価の低下を招くことになる。海外資金の流入が減少すれば、それだけ国内の資金量が減るため、経済へ負の影響を与える。

 

 株価の下落は日本企業に対する、ひいては日本という国に対する先行きの悲観論へとつながり、日本の将来への不安が日本という国の価値の低下を意味し、通貨価値の下落、つまり円安に向かう、と連想してしまうが、現在起きていることは、株価の下落と円高の同時進行である。この場合、先に円高があって、そのことが輸出関連企業の業績悪化につながるため、輸出企業の多い日本の株価が下がる、とのストーリーを連想できるが、今回は株安が先である。即ち、株安の状態における円高がさらに株安につながっているのであるが、市場のメカニズムはなんとも複雑である・・・。

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2010年

8月

23日

ワールドカップにおける日本チームの評価

 今回は、南アフリカで開催されたワールドカップにおける日本チームへの評価について考えたい。


 今回のワールドカップにおける日本の目標は「ベスト4」であった。しかしながら、「ベスト16」で敗退に至った。いくら善戦したとは言え、目標に達しなかったのであるから、「なぜもっと勝てる試合ができなかったのか?」「国際試合で上位にいけない原因は何か?」という議論があっても良さそうなものであるが、それらはまったく聞こえてこない。日本での評価は、「感動した!勇気をもらった!ありがとう!君たちは日本の誇りだ!」といったものである。とにかく「よくやった」なのである。

 

 なぜそのような評価につながったのかを考えてみたい。今回は開催前の試合において、完敗と言える敗戦が続き、国民の期待は急速にしぼんでいった。岡田監督においても弱気発言が辞任と憶測されたり、チーム内の不協和音がまことしなやかにマスコミによって伝えられた。いずれにせよ、ワールドカップ前に日本の国民は、日本チームに対する期待をほとんど失った状態にあったのである。そしてワールドカップが開催した。開催前、開催の当日、日本での盛り上がりはイマイチであり、スポーツニュースの解説者においても、日本チームについて、否定的な意見が多かったようである。

 

 そして、第1戦が幕をあける。第1戦の相手は競合カメルーンである。「日本は勝てないだろう」というのが下馬評であった。しかし、大方の予想を覆して、日本は勝利をおさめる。たったこの1試合で日本中が興奮し、日本チームへの見方を180度変えたのである。そして、その後も善戦をし、ベスト16に駒を進め、そして敗退した。話を元に戻すが、目標は達成できなかったのである。しかしながら、日本中が日本チームに対して、最大限の賛辞を示した。今回に限れば、前評判の低さが、結果として日本チームへの評価を高めたのである。


①(前評判)めっちゃ強い!優勝かも! (結果)ベスト16 (評価)やっぱりね、そんなわけないわ (盛り上がり度)30
②(前評判)いつもと同じくらいのチーム (結果)ベスト16 (評価)そこそこだね! (盛り上がり度)50
③(前評判)めっちゃ弱い。あかんで。 (結果)ベスト16 (評価)すごいやん!感動! (盛り上がり度)90

 

 結果は同じでも、前評判によって、その評価は大きく影響を受けるのである。

 

④(前評判)めっちゃ弱い。あかんで。 (結果)全敗 (評価)やっぱりね! (盛り上がり度)20

 

前評判と変わらない結果の場合は、盛り上がることはないのである。

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2010年

8月

18日

酒ディスカウント・ストアの成功と凋落

 今日は酒ディスカウント・ストアの繁栄と凋落について考えてみたい。現在も至るところに酒ディスカウント・ストアが存在するが、成功している店は非常に少なくなった。個店ごとに日本酒に力を入れたり、ワインの品揃えを豊富にしたりと特色を出すべく奮闘しているが、消費環境の厳しさもあり、一時の勢いはすっかり消えてしまった感がある。

 

 酒ディスカウント・ストアの勢いがあったのは80年代~90年代であろう。当時、酒の流通は、いわゆる「町の酒屋」が酒類販売免許の規制により、独占状態にあった。御用聞きスタイルで注文を取り、重たい酒類を家庭まで配達していたのだ。私が子供の頃、70年代はビールは缶ではなくビンが主流であり、主婦が運ぶには大変重たい商品であった。価格も定価販売であり、今のような値引き競争はなかったといって良いであろう。酒屋もメーカーの流通政策により、アサヒ系、キリン系など、関係の深いメーカーの製品を多く売る努力をしていたようだ。町の酒屋は家族による零細事業者がほとんどであり、昭和57年において酒小売店109,621店のうち、個人形態の事業所が90,353店である。その後、酒小売店は平成19年時点で、47,696店に半減し、個人形態の事業所は33,614店と1/3に激減している。

 

 現在の状況をつくり、当時の業界慣習を破ったのが酒ディスカウント・ストアである。業態の特徴は、ロードサイドに立地し、低価格で集客し、ケース単位による大量販売を実現するものである。低価格を実現するための工夫は以下の三つである。


①仕入原価の低減化
 ケース売りの大量販売により、仕入原価を下げる。当時は原価自体を下げるよりも、大量販売によるリベートの取得を原資としていた可能性がある。
②セルフサービス、持ち帰りによる人件費の低減
 セルフサービス、配達しないことによる人件費の削減である。低価格のため、当時は客自身もそれを理解したため、積極的に受け容れた。いわゆるモータリゼーション(自動車の大衆化)により、持ち帰ることができる時代が到来したのである。
③ロードサイド出店による安い出店コスト
 ロードサイドによる悪い立地のため(当時は)、安い家賃、広い敷地の入手のしやすさに加えて、標準化による店舗投資の低減化が可能となった。

 

 要は、標準的な酒類小売店と比べて、大きく損益構造を変えることによって、低価格でも収益を出せる仕組みが酒ディスカウント・ストアであり、それが時代に受け容れられ、大きな成功を収めたと言える。仕入原価、人件費、家賃、店舗設備等に対するコストを大きく低下させることで、販売価格を下げる。そしてその低価格で広い商圏(メインは自動車客である)から集客を行い、大量販売を実現して、利益を出すのである。コストの低減化 → 販売価格のダウン → 集客力の向上 → 大量販売による利益の確保 である。

 

 しかしながら、これは容易にマネのできる仕組みであったため、多くの新規参入があったほか、規制緩和による酒類販売免許の取得の容易化により、GMS、スーパー、ドラッグストア、ホームセンターにおいて同様に酒類を低価格で販売したため酒ディスカウント・ストアの優位性は消失している。他業態においては、はじめから集客手段と売上のかさ上げを狙った品揃えのため、利益度外視で集客し、他の利益率の高い商品を同時購買してもらうことによるメリットを狙った。例えば、スーパーには生鮮食品があり、ドラッグストアには医薬品があり、ホームセンターには園芸用品がある。

 

 現在、酒ディスカウント・ストアにおいては、冷凍食品やワイン、食器などの品揃えにより既存の業態からの脱却を図っているが、もともと利益の取れる柱となる商品がなく、ビールから発泡酒、発泡酒から第3のビールへと単価が下がっている中で他業態との競争に勝てるのは一握りの店舗になると推測する。

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2010年

8月

16日

メーカー視点の代理店のメリット

 今日は、メーカーから見た代理店を置くことのメリットを考える。

 私は現在、某大手ベアリングメーカーの代理店である機械部品商社に籍を置いている。機械部品メーカーは自社製品の流通において、通常は2つの経路を持っている

 

①メーカーが直接最終ユーザーと取引する直販形態
②メーカーと最終ユーザーの間に代理店・販売店が入る代理店形態

代理店・販売店の先にさらに2次卸、3次卸が介在し、最終ユーザーに至るケースもある。

 

 ではなぜ、部品メーカーは代理店を使うのであろうか?もちろん、中小部品メーカーや後発メーカーの場合、自社の弱い営業機能を補完する存在として、代理店・販売店を置いている。しかし、シェア1位の有力メーカーや全国的知名度を持つメーカーの場合、それらの理由ではなく、以下の理由から代理店・販売店を置いている場合が多いと考える。

 

①営業コストの安さ
 これは大企業と中小企業の人件費の差を狙ったものである。取引数量に劣る中小企業ユーザーに対して、人件費の高い大企業の営業人員をあてることは不効率である。従って、相対的に人件費の安い中小企業代理店を活用することで、対中小企業の取引が可能となる。

 

②在庫・物流機能
 取引数量に劣る中小企業ユーザーへの製品の生産・発送は小ロットとなるため、大企業にとって効率が低くなる。これを埋める存在として、代理店・販売店がある。つまり代理店に在庫を持ってもらい、ユーザーへの在庫調整機能を持たせることで、大企業から見た有効性を高めることができる。物流においても、代理店に一括で配送し、代理店から小口で物流してもらうことで物流効率が上がるわけである。

 

③貸し倒れリスクの移転
 中小企業ユーザーの倒産による貸し倒れリスクを代理店にかぶせることができる。代理店からは保証金を預かっているため、代理店倒産によるメーカーの貸し倒れリスクは小さい。

 

④営業エリアの深耕
 大手メーカーでは不採算なローカル市場の開拓が、その地区に詳しい代理店であれば可能となる。

 

 有力メーカーの場合、代理店・販売店の活用は営業機能の補完という意味合いよりも、コスト効率の低い小口ユーザーの取引を代行させる目的が強い。もちろん、これは業界や企業の方針により異なる。しかし、中小企業の代理店・販売店、すなわち小規模商社に大きな営業力がある場合は少なく、ベアリング等の機械部品については、勢いその営業コストの安さで代理店・販売店は生き残っている場合が多いのが実態である。

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2010年

8月

15日

労働環境分析

今日は終戦記念日です。最近戦争に関する本を読んだり、テレビで見たりで考えさせられる毎日です。

ところで、今年の3~5月頃にかけて毎日労働関連の統計分析をしていました。会社でもかなり大きな時間を割いて新規事業企画につながるプレゼンをしました。

そのときの膨大な資料を公開しようとしていますが、ファイルもバラバラだし、社内用に作った資料なので手直しが必要です。まとめ方も難しいし、どのようにコンパクトかつ複雑な要因を説明できるか思案中です。

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2010年

8月

14日

通商白書2010年版

書籍版がやっと発売されたようですね。

本日、川西市の紀伊国屋に買いに行ったのですが、置いてませんでした。

なのでネットで注文しました。

紀伊国屋のポイントカードがあるので、最近はなんでも紀伊国屋で買ってます。

かなり囲い込み効果が高いかもしれませんね。

 

通商白書は2009年版から読み始めました。

経済の勉強になるし、会社の今後を考える上でも大変参考になります。

また分析した上で資料を作成したいですね!

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