今日は、メーカーから見た代理店を置くことのメリットを考える。
私は現在、某大手ベアリングメーカーの代理店である機械部品商社に籍を置いている。機械部品メーカーは自社製品の流通において、通常は2つの経路を持っている
①メーカーが直接最終ユーザーと取引する直販形態
②メーカーと最終ユーザーの間に代理店・販売店が入る代理店形態
代理店・販売店の先にさらに2次卸、3次卸が介在し、最終ユーザーに至るケースもある。
ではなぜ、部品メーカーは代理店を使うのであろうか?もちろん、中小部品メーカーや後発メーカーの場合、自社の弱い営業機能を補完する存在として、代理店・販売店を置いている。しかし、シェア1位の有力メーカーや全国的知名度を持つメーカーの場合、それらの理由ではなく、以下の理由から代理店・販売店を置いている場合が多いと考える。
①営業コストの安さ
これは大企業と中小企業の人件費の差を狙ったものである。取引数量に劣る中小企業ユーザーに対して、人件費の高い大企業の営業人員をあてることは不効率である。従って、相対的に人件費の安い中小企業代理店を活用することで、対中小企業の取引が可能となる。
②在庫・物流機能
取引数量に劣る中小企業ユーザーへの製品の生産・発送は小ロットとなるため、大企業にとって効率が低くなる。これを埋める存在として、代理店・販売店がある。つまり代理店に在庫を持ってもらい、ユーザーへの在庫調整機能を持たせることで、大企業から見た有効性を高めることができる。物流においても、代理店に一括で配送し、代理店から小口で物流してもらうことで物流効率が上がるわけである。
③貸し倒れリスクの移転
中小企業ユーザーの倒産による貸し倒れリスクを代理店にかぶせることができる。代理店からは保証金を預かっているため、代理店倒産によるメーカーの貸し倒れリスクは小さい。
④営業エリアの深耕
大手メーカーでは不採算なローカル市場の開拓が、その地区に詳しい代理店であれば可能となる。
有力メーカーの場合、代理店・販売店の活用は営業機能の補完という意味合いよりも、コスト効率の低い小口ユーザーの取引を代行させる目的が強い。もちろん、これは業界や企業の方針により異なる。しかし、中小企業の代理店・販売店、すなわち小規模商社に大きな営業力がある場合は少なく、ベアリング等の機械部品については、勢いその営業コストの安さで代理店・販売店は生き残っている場合が多いのが実態である。
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