経済関連のニュースは「景気が悪い」のオンパレードである。マスコミが景気が悪いといえばいうほど、世間もそういう気分が醸成されていく。新聞も雑誌も売るのが仕事だし、テレビ番組も視聴率で広告収入が欲しいのは分かるが、マスコミ自身のシグナル効果は極めて危険である。それはさておき、現在は「景気が悪い」わけであるが、逆に「景気が良い世界」とはどんな世界であろうか?
日本は1991年のバブル崩壊以来、株価や土地などの資産価格の下落、リストラ、不良債権処理、失業率上昇などなど、長年にわたる不景気を経験してきた。しかし、およそ2003年から2007年にかけて、小泉景気やデジタル景気などと呼ばれる久しぶりの景気の上昇をつかんだ。きっかけは住宅関連を契機とするアメリカの好景気であり、簡単に言えば以下のような好循環があったのであろう。
アメリカの好景気 ⇒ 日本国内の在庫調整の進展 ⇒ 生産活動の上昇 ⇒ 雇用増加 ⇒ 全体所得の増加 ⇒ 内需の回復 ⇒ 企業収益の回復 ⇒ 投資の再開 ⇒ 生産活動・雇用・所得増加、内需回復など好景気へ
そこで自分なりに「景気の良い世界」を定義してみた。私が考える条件は以下の3つである。
①みんなに仕事がある(=失業率が2~3%)
②実質所得が少しずつ上がる
③国、自分の将来に対する不安が少ない(①と②+αによって感じること)
もちろん、この他にも色々な条件や要因が考えられるが、人々が景気が良いという「気分」になり、取引活動を行う意欲を持つのは、「目の前のお金」と「将来得られるであろうと考えるお金」の影響が大きいであろう。2003~2007年にかけてはこれに近い状態になっていたと想像する。しかし、もしそうであれば、当分、好景気を構成する3条件が揃うのは難しいことに気づく。以下、私なりに検証してみた。
①みんなに仕事がある
・景気拡大局面の失業率の低下はみかけだけに過ぎない
・非正規雇用の拡大により、低下していただけであり、雇用不安定状態(失業者+非正規雇用者)にある者は急拡大している
・該当期間において企業は正規雇用(正社員)を増やしていない
・海外生産が増加する製造業、公共投資が減少する建設業は近い将来において雇用吸収力が低い
・サービス業は低生産性業界のため収益性が低く、正社員を雇用する体力はなく、高生産性企業は多くの正社員を必要としない
・結局、今後も正規雇用が増える可能性は低い
・現在の完全失業者数350万人前後に加えて、25~54歳の男性の非正規雇用者は約200万人
・ということは、みんなに仕事がある世界はバブル崩壊後のリストラ時代以降、なくなっていると考えるべきである
・新産業で雇用を創造するとしても、例えば電気自動車や環境技術、ナノテクなどで100万人規模の正規雇用者の増加が本当に可能か?
②実質所得が少しずつ上がる
・名目所得が同じであれば、デフレでも実質所得はあがる
・雇用が減少する可能性が高いため、全体所得が増加することは考えにくい
・今後ますます社会保障費負担が増え、加えて失業率の上昇により、「負担する者の負担」が増加する
・名目所得が増えず、負担だけが増えるため、実質所得は減少する
③国、自分の将来に対する不安が少ない
・財政破綻状態の日本
・世界に遅れを取り、存在感を失いつつある日本
・超高齢化、若者のいない世界、年金に対するあきらめ、マイペースを貫くのん気な政治家など、不安はこれからも増大する可能性が高い
・とすると将来の不安に備えた貯蓄へ所得が回ってしまう
私の考えは悲観論過ぎると自分でも感じる。しかしながら、好景気をつくるのは気分であり、気分が経済を好循環させ、その好循環がさらに好循環を呼ぶ。気分により株価も上がり、消費も刺激される。私も、みんなの気分を変えるような事業、製品、サービスを考えていきます。
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Pierce (日曜日, 22 7月 2012 11:57)
Hi there! This post couldn�t be written much better! Reading through this article reminds me of my previous roommate! He always kept preaching about this. I most certainly will forward this post to him. Fairly certain he�ll have a good read. Thank you for sharing!