禁煙の困難度

 久しぶりの更新となりました。さて、10月1日よりタバコの値上げが実施され、概ね1箱100円程度、価格が上がったようである。通常ユーザーは1日1箱前後吸うのであろうが、そうであれば100円×365日=36,500円、年間36,500円のコストの負担となる。これを機会にやめる人も多いようである。やめれば、410円×365日=149,650円のコスト負担が減る。結構な額である。

 

 ところで近い将来やめようと決意した人が多いのは事実であるが、とりあえず何カートンかを買いだめした人が私の周りでは多い。それがなくなれば・・・となるかどうかは分からない。ではなぜ、タバコはかくもやめられないものなのか?やめる対象として、タバコに近いものは酒、パチンコや競馬などのギャンブルなどがある。酒やタバコは健康面、ギャンブルは経済面でやめる人が多い。私が考える「タバコをやめることができない理由」は以下である。

 

・いつでもどこでも買える、小額で元の状態(喫煙者)に戻ることができる
・目に見えて、現在の状況(健康面、経済面)が損なわれるわけではない
・意思が弱い
・単純にタバコ好き(依存症)

 

 理由は色々あるが、タバコをやめることを困難にしている大きな理由の1つは、「自分の習慣を変える」ことの難しさなのではないかと思う。人はどんなときにタバコを吸うのかを考えると、休憩、食事の後、酒の席、考え事をするとき、仕事の帰り道など、自分の間を取る道具になっていることが分かる。タバコがほしいのか、自分の間がほしいのか?である。例えば、多くの人は喫茶やカフェで休憩したり時間をつぶすときにコーヒーを飲むが、「コーヒーが飲みたい」のではなく、「休憩したいからコーヒーを飲む」のである。タバコも同じ要素を持っている。「タバコを吸いたい」のではなく、「休憩したいからタバコを吸う」という人が多いのではないか?確かに、タバコには精神をリラックスさせる効果があるため(医学的に立証されたかどうかは知りません)、イライラを沈めるために吸う人もいるが、本当にそうなのか?タバコを吸う「間」を取ることで、落ち着くことができるからではないのか?

 

 いずれにせよ、習慣を変えることは、自分の今までの生活リズムの変更を迫られる。つまり、慣れるまでは「普通の状態」にないわけである。人間は慣れない場所よりも慣れた場所が落ち着くのは当たり前の話である。毎日テレビやゲームばかりしていた子供が机に向かって勉強することを習慣づけするのは、年齢を重ねるほど難しい。タバコも同じである。大人が自分の習慣を変えることには、大きな理由が必要なのである。

 

 だから一時の思いつきで禁煙を宣言した人の成功率は極めて低くなる。逆に、深刻度が高ければ高いほど、その成功率は高まる。実のところ、私は13年前にタバコをやめている。私は決意してすぐにやめることができた。やめた理由は、タバコ会社がサルに24時間タバコを吸わせるという実験をしていることを知ったからである。健康的理由でも経済的理由でもないため、私のケースは特殊かもしれないが。いずれにせよ、値上げはやめるきっかけとはなるが、その価格に慣れてしまえば、それが普通になり、なにも感じなくなるのもまた人の常である。喉もと過ぎればなんとか、である。やめるには強烈な理由を作ることが最善である。

Hey Visitor!