今日は松山市の秋季大祭りのイベントである「鉢合わせ」を見学してきた。「鉢合わせ」とは神輿同士をぶつけ合うものである。私が見学したエリアは、町単位(あるいは地域単位)で5つの町がそれぞれの神輿とメンバーを持つ。神輿は50名程度でかつぎ、それをぶつけ合う様は、迫力満点である。私の知人がその主要メンバーであり、初めてその本番を見に行ったのである。朝4時に現場に到着したが、既に熱気ムンムンである。
そこで注目すべきは、その神輿を担ぐ組織の結束力である。彼らの目標は「相手町に勝つこと」であり、そのことにより「大将を男にすること」である。「鉢合わせ」自体は、勝ち負けのない勝負であるが、満足なパフォーマンスを出して、相手町の神輿を弾き飛ばしたいのである。その「鉢合わせ」の前に、神社から神輿を出す「宮出し」を各町が順番にするのであるが、そのときから一つの目標に向かう組織になっている。
彼らはそれにより報酬が貰えるわけでも、上司に命令されたわけでもない、純粋なボランティアである。だから、結果がどうであろうと、彼ら自身に「損得」は関係ないのである。しかしながら、その結束力は強く、一般企業にマネのできないものであろう。彼らは自分の「頑張り」あるいは「気合」が、どれだけ組織の結果に直結するかを知っている。そこでは「自分くらい手を抜いても」とか「しんどいから」といった世界は無縁である。全員が全力を出し、一体化するのである。それは見ていて、私自身がその組織に属したいという衝動にも駆られるほど魅力的である。
団結力という点では、甲子園に出場する高校野球チームにおけるそれもすばらしいものであろう。特にそのチームのエースは、自分の将来もかえりみず、何連投になっても、そのチームに対する献身性を持つ。それが良いか悪いかは、個人個人により見方は異なるであろうが、彼らはとにかくそのチームの目標に貢献することが、その時点では最も欲するものなのである。
これらのことは、モチベーション管理やほめて育てるといったものではなく、組織の結束力に必要なものは、その構成員を興奮させ、心を燃焼させることであることを教えてくれる。そして一度、その「雰囲気」を持った組織になれば、各構成員にとって、その組織はかけがえのないものになる。そうなるためには、各構成員が、その組織に確固とした自らの存在場所を自認し、自分の力の巧拙がいかに組織の力を変えるのかという「自分の義務、責任感」を感じることである。加えて、燃える構成員同士が連鎖反応を引き起こし、さらに燃える組織へと循環させていく。最終的には、その組織に身を置いていること、そしてその組織と時間を共有することが、自分自身の最大の喜びにも転化する。結局、「自分のゴール=組織のゴール」になる。
そしてその組織のリーダーには、全構成員からの尊敬を集めるだけの力量が必須である。組織はそのリーダーが引っ張り、そのリーダーを全構成員が支える。今日は、すばらしい組織力を見て、非常に心が洗われました。松山市の皆様、ありがとうございました。
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