このところ中国との間の尖閣諸島問題、ロシア大統領の北方領土上陸と外交問題が新聞を賑わせている。これらの問題は単発的、偶発的に起こっている問題ではない。今回は、日本を揺るがすメガトレンドについて独自の視点で考えたい。
尖閣諸島、北方領土ともに領土問題であり、資源問題あるいは安全保障の問題である。尖閣諸島には日中中間線付近のガス田の領有権問題が存在し、北方領土は地政学的に重要な地点となっている。いずれにせよ、領土問題は解決することが極めて困難な問題であり、歴史的に棚上げされてきたものと考えられる。相手国にとって、アジアの盟主である日本との交渉にはアメリカの影もあり、強行にでることは得策ではなかったのであろう。中国やロシアにとっては、「日本の態度を硬化させるデメリット>明確な領土獲得で得られるメリット」となり、あえて棚上げする(あるいは触れない)ことにメリットがあったのである。
一方、日本においては、経済力が高まっていたことから、いわば後ろ向きの問題であり、感情論が先行する領土問題に正面から取り組むことは政治家としてのメリットが少なかったと推測する。しかし、ここにきて、これらの領土問題において、ロシア、中国ともに強硬な姿勢に転化している。この転機になったのは昨年に起こった民主党への政権交代であろう。そこでアメリカとの関係が悪化したことは、各国において「日本恐れることなし」に傾倒したのではないか?さらに問題発生後の政府の対応については、各国において、さらに「日本くみしやすし」の印象を与えたであろう。もちろん、中国は12億の民を食わせるための資源獲得の必要性などの複雑な理由はたくさんある。しかし、経済の停滞、財政破綻状態、人口減少に加えて、新興国の経済力の急上昇もあり、日本の国際舞台における発言力は著しく低下している。
結論を言うと、尖閣諸島問題、北方領土問題の中国、ロシアの強行姿勢は次のことを示している。「我々は日本の力を借りなくてもやっていける」あるいは「日本を怒らせても問題がない」である。要は、中国、ロシアにとって、「日本の態度を硬化させるデメリット<明確な領土獲得で得られるメリット」となり、不等号の向きが変わったのである。アメリカにおいても、日本と中国を天秤にかけており、自国にとってメリットがないと判断すれば、日本を見捨てる可能性は高い。従って、これらの問題は構造的に起きているものであり、今後も同様の問題が発生すると考える。日本はもともと外交が苦手であると言われていたが、民主党はさらにひどいようだ。感情論だけを先行させる国民性にも原因が求められるが(そうさせるマスコミも悪いが)、したたかさ、問題を俯瞰的に捉え、将来を見る視点が日本の外交に欠けている。我々はこのような状態をつくりだした政治を看過せず、有能な政治家を国会に送らなければならない。
コメントをお書きください
たー (木曜日, 16 8月 2012 21:57)
すごく参考になりました。
どうもありがとうございます(_ _)
通行人 (土曜日, 18 8月 2012 01:30)
首相がだめなら外務省の中から出せよ!
顔の見れない官僚なんていらないわ!
仕事が大変かもしれないけど、この国のために頑張って下さい!
よろしくお願いします!
タソガレ タロウ (土曜日, 25 8月 2012 16:34)
日本には世界と渡りあえる外交員が存在していないのか?否、育てることができないのか? 嫌な表現をするなら、相手の嫌がることは何なのかを捜し(その逆もしかり)カードとして使うことも必要だと思うが・・・。そのカードがあまりにも貧弱で少ないのでは。相手国と周辺諸国の人と文化と関係性を細かく分析して次なる手を考える。アメリカが日本にしてきたことも手本にして隣国をかんがえるのだ。
Toru Nishikaze (土曜日, 25 8月 2012 20:36)
たーさん、通行人さん、タソガレタロウさん、コメントありがとうございます。
日本の経済力の低下や相変わらず国民無視の政治の無策により、従来の中国や韓国、ロシアと日本とのパワーバランスは大きく崩れています。しかしその中でも日本の存在感を世界に示すことのできる外交、人材が求められていますよね。
民主党内のいざいこざや、鳩山さん、小沢さんなどを見ていると期待が持てそうにありませんが・・・。
YES (火曜日, 28 5月 2013 10:13)
参考になりました!ありがとうございます。
Toru Nishikaze (土曜日, 08 6月 2013 21:05)
YESさん
コメントありがとうございました。