できちゃった結婚

 最近はヤフーを見ていて、目につくのが芸能人等の「できちゃった結婚」である。私の感覚では、芸能人等の結婚ニュースの3割以上が「できちゃった結婚」と推測する。もちろん芸能界だけではなく、一般人の間でも「できちゃった結婚」は市民権を得ているようである。例えば、厚生労働省の統計によれば、平成16年に第1子を産んだ夫婦のうち、約1/4について、結婚期間が妊娠期間より短い出生(簡単に言うと結婚した時点で妊娠している)であり、「できちゃった結婚」と考えられる、とのことである。

 しかしながら、上記の厚生労働省の統計を見る限り、「できちゃった結婚」は近年、急に増加したものではなく、緩やかに上昇しているものである(平成7年22.5%→平成16年26.3%(以後この比率を「できちゃった比率」と呼ぶ))。ただし、この数字をさらに分析してみると、見方が変わる。注目してほしいのは、母親の年齢が「15~19歳」及び「20~24歳」の若年層における「できちゃった比率」である。数字は以下の通りであるが、できちゃった比率が増加することで、該当年齢の女性の人口が減少しているにもかかわらず、件数が減っていないということである。それでは、なぜこの「できちゃった比率」が増加しているか?である。「できちゃった件数」をモデル化すると、以下のようになる。

 

できちゃった件数=①婚前交渉回数×②非避妊率×③妊娠確率×④非堕胎率×⑤結婚率

 

①「婚前交渉回数=スタート年齢×年間平均回数」となる。この場合の対象は、婚姻前の男女についてである。スタート年齢が性経験の若年化により早まり、そして平均回数も若いほど多いと推測する。従って、この要因は増加するため、できちゃった件数を押し上げる。

 

➁非避妊率は、増加していると推測する。エイズや性病の予防から避妊の必要性が社会的に叫ばれている中で、避妊をしないという行動は、私には理解しがたいが、避妊に対する間違った知識(例えば、外へ出せばOK)や開始年齢の若年化により、そもそも理性が利かずに事に及んでしまうことなどが理由になる可能性がある。結果として、この比率のアップはできちゃった件数を押し上げる。

 

③妊娠確率は変化がない。

 

④非堕胎率については、「できちゃった結婚」が市民権を得たため、減少している可能性もあるが、出生直後に胎児を放置する事件が多いことを考えると、この数値も変化がないと考える。

 

⑤結婚率は、④の数字と関係するが、市民権を得たため、この比率はアップしている可能性がある。

 

 できちゃった結婚の増加は、出生数の増加や婚姻年齢の若年化につながり、良いと見る向きもあろう。性の乱れの結果であり、日本の風紀を損なう問題である、と見る向きもあろう。しかしながら、「できちゃった結婚」は若年層に典型的に見られる現象であり、いずれにせよ計画しない妊娠、結婚、出産を生じさせる。その「できちゃった結婚」により生まれると想定される子は、全体の12.5%に達する。「できちゃった結婚」の当事者が芸能人であれば、経済的にゆとりがあると考えられるが、若年層でゆとりのある人が多いとは考えにくい。「できちゃった結婚」の増加は、様々な社会問題を引き起こす可能性があり、注視したいトレンドである。

できちゃった件数chart
できちゃった件数chart

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