高齢化の問題を考える

 さて、問題です。高齢化は問題でしょうか?言葉遊びではない。相変わらずニュース、新聞や雑誌では「高齢化が招く未来の恐怖」や「世界で類を見ない高齢化社会への突入」といった調子でとにかく大変らしい。大変なことは確かであるが、高齢化自体が大変なことを意味するわけではない。今回は再び、このメガトレンドを取り上げる。

 高齢化とは、トレンド・トピックス「少子高齢化の構造」にも記載しているが、相対的な概念である。それは「全人口に占める65歳以上の人口の割合の上昇」を意味する。割合の基準としては、20%前後に達すれば概ね高齢化社会と認められるようだ。高齢者とは国によって異なるが、60歳又は65歳以上を指す(日本は65歳)。日本の現在の平均年齢は44歳前後と記憶している。そして高齢化比率(全人口に占める65歳以上人口の割合)は、2008年が22%、2010年が23%程度であるが、今後段階世代が65歳に到達するため、2020年には30%近くに達する。

 

 高齢化比率の算式は、「65歳以上人口÷全人口」である。分子の65歳以上の人口が増加し、分母の全人口は減少している。全人口の増減は、ほぼ「出生数-死亡数」に近い。以前はこれがプラスであったため、人口が増加していたが、現在は、この数値がマイナスである。2009年の出生数が107万人、死亡数は114万人で7万人の人口減少となる。

 

 日本において、高齢化の進行を抑える、あるいは比率を下降させる方法は2つある。1つは出生数の大幅な増加により、若年層の割合を拡大させる。もう1つは、日本の外から人口を吸収(もちろん平均年齢よりも若い人)する、すなわち移民や海外労働者の受け入れである。

 

 最初の出生数の大幅な増加を検討してみよう。2008年の年齢別人口から単純に計算すると高齢化比率は22.1%、同年において64歳の人口は176万人である。2009年の65歳以上人口の増減は、「2009年に65歳となった人口-同年において死亡した65歳以上の人口」である。2008年において65歳以上で死亡した人は96万人である。2009年に64歳の人の死亡が無く、65歳以上の死亡数が2008年と同じであると仮定すると、2009年に65歳以上人口は80万人(176-96)増加する。そして2008年の高齢化比率を2009年においても維持するためには、362万人の出生数が追加で必要になる(80÷362=22.1%)。結果として、合計で必要な出生数は469万人(107+362)となる。次に、64歳未満の人口の絶対数を維持するために必要な出生数はいくらであろうか?これから5年間において、平均で毎年210万人が65歳以上になる。その先の5年間においては、平均で毎年170万人が65歳以上になる。従って、高齢化比率においても、64歳未満人口の絶対数においても、高齢化の進行を出生数で抑制することは不可能であることが分かる。なぜなら、繰り返しになるが2009年の出生数は107万人だからである。

 

 結局、国の政策等において、現行制度ありきで、子供の数を増加させるための補助金や支援措置をいくら打ったところで、高齢化を抑制することに対して、多くの効果を及ぼさないことが分かる。想像してほしい。子供をつくりやすい環境を整えることで、出生数が2倍や1.5倍になるであろうか?もちろん、子供を育てやすい社会にすることは必要であるが、それらは高齢化社会を抑制するために打たれる政策であるはずがない。だから「子ども手当て」なるものはまさに「無駄金」なのである。それよりも先に、高齢化社会を受け入れ、そこで国民が安心できるための、高齢化社会に順応するための社会制度を考えることが必要である。

 

 話が飛んだが、高齢化を抑制するための、もう一つの方法、移民や海外労働者の積極的な受け入れの拡大についてはどうであろうか?こちらは、長期間、必要性が叫ばれながら、まったく進んでいない。日本人のメンタリティとして、政治家や国民主要層の世代チェンジがない限り、これが実施されることはないであろう。

 

 そして冒頭の「高齢化は問題か?」に戻りたいが、前置きが長く成り過ぎた。次回に再び、続きを取り上げたい。

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コメント: 1
  • #1

    Elmer (月曜日, 23 7月 2012 11:58)

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