今回はメガトレンドである少子化対策について再び独自の視点で考えてみたい（｢トレンド・トピックス｣の｢少子高齢化の構造分析｣において詳しく分析しています）。日本においては出生数が減少の一途をたどっている。私が生まれた1971年の出生数は200万人、一方2009年のそれは107万人である。政府は少子化対策として、子供手当てや各種補助金、働く女性のための育児環境の整備、不妊治療の支援等、各種の対策を打ち出している。もちろん各種の打ち手自体において、｢効果があるのかないのか？｣と問われれば、｢ある｣とはなるが、｢一体どの程度利きの良い打ち手か？｣と問われれば、｢？？？｣である。

　国の少子化対策は、目的を明確にしない販促と同じである。売上の下がったドラッグストアが、とりあえずチラシ広告出す！というような感じである。せっかくお金を使うなら、有効に、利きの良い施策に投入してもらいたいものである。

　さて、あなたなら、少子化対策を考えなさい、と問われれば、どのようなことを考えるであろうか？私が考える少子化対策への道は2つある。

①現在独身の人にできるだけ結婚してもらう
②現在すでに結婚している夫婦に、出来るだけ多くの子供を持ってもらう

　｢なんだ、当たり前じゃん｣。各々をもう少し掘り下げてみよう。

　あるアンケートによれば、独身者（18～35歳）の結婚希望率は男女とも約9割である。しかしながら、｢結婚しない｣又は｢結婚できない｣結果になっている。｢結婚しない/できない｣理由のトップは「適当な相手にめぐり会わない」である。なぜめぐり会わないのか？

　ここで私独自の｢結婚しない/できない男女マトリックス｣を見てほしい。 ｢結婚しない/できない｣と一概にいっても、｢結婚できる実力の有無｣と｢結婚するための機会の有無｣によって4つに分けることができる。｢結婚できる実力｣とは異性から見て結婚したいと思えるような魅力を持っているか否かである。｢結婚するための機会｣とは、異性に出会う機会の有無を意味している。

①夢追い人・・・結婚できる実力があり、かつその機会もあるが結婚しない人である
②宝の持ち腐れ・・・結婚できる実力はあるが、その機会に恵まれない人である
⇒いかに機会を与えるか？が問題となる
③下手な鉄砲・・・結婚するための機会はあるが、残念なことに結婚する実力がない人である
⇒実力を付けさせることが問題となる
④冬眠・・・結婚する実力もなく、その機会もない人である
⇒まず実力をつけた上で、機会を提供していく必要がある

　さて、4つに分けてみると、結婚を増加させるためには、各々によって打ち手が異なることが見えてくる。自治体や結婚相談サービスは若い男女の出会いの場を設定しているが、それが実る可能が高いのは②だけである。実力のない③、④には別の施策が必要となる。実力といっても多岐にわたるが、経済力、異性とのコミュニケーション力、最低限の見た目（男性の場合、清潔、太り過ぎない）などがあげられる。

　当然、男性が結婚できない障害として、「非正規雇用者」であることは大きな理由となっている。非正規雇用のため、相手の親に反対されるし、自分の自尊心も満たせない。そしてなにより将来への不安、先立つお金がない。非正規雇用が増加すればするほど、この理由は大きくなる。結婚においては年収だけではなく安定した仕事の重要性を示している。その意味で雇用を増加させることが必要になるが、ここで政府が短期的な雇用増加を図るために補助金をばら撒いても無駄である。長期的に雇用をつくるためには、外国からの投資を呼び込むことや新しい産業をつくったり、衰退産業を新しいアイデアで活性化するための規制緩和や将来の日本を見据えた本物の成長戦略が必要になる。

　いずれにせよ、現在独身の人を結婚させるにしても、短期的視点では物事は解決に向かわない。それを引き起こしている要因の改善こそが問題を解決に導く。

　話が長くなった。｢②現在すでに結婚している夫婦に、出来るだけ多くの子供を持ってもらう｣については、次回に続く。