ゆうちょ銀行①

 今回はやはり気になる存在である「ゆうちょ銀行」を分析してみたい。国債の暴落危機が叫ばれる中、国債の購入者として貢献しているゆうちょ銀行とはなんのためにある会社なのか、を考えてみる。

 まず、ゆうちょ銀行の直近(23年3月期)の貸借対照表と損益計算書の要約を見てみよう。貸借対照表の資金調達源泉である負債・資本を見てみると、90%以上を預金(我々がゆうちょ銀行に預けているお金)が占めている。そして資産内容を見ると、国債・地方債が突出しており、その構成比は79%に及ぶことが分かる。要約すれば、ゆうちょ銀行は国民から預かった資金を使って、国債・地方債を購入している、となる。 ちなみに貸出金は金融機関向けが7割以上であり、事業会社や個人に対する割合は低い。

Financial Sheets
Financial Sheets

 次に損益計算書に目を転じてみると、収益の約90%が有価証券利息配当金で占められており、ゆうちょ銀行独自の収入源(役務収益等)は無視できる程度に低いことが読み取れる。費用構造については、預金利息と営業経費が9割を占める。営業経費に関しては、直近期のディスクロージャー誌が公開されていないため、明らかにはなっていないが、中間期を見る限り、営業費用の半分が「郵便局株式会社の業務に係る委託手数料」であり、1割程度が人件費、さらに6%程度の業務委託費が計上されている。最終利益(当期純利益)は3,163億円である。

 

 ゆうちょ銀行の事業構造をチャートにすると以下の通りになる。ゆうちょ銀行は国民の預金によって国債を購入する。そしてその国債の利子を主要な収益源としており、そこから預金利息と営業経費等を賄って、最終利益が計上される。

Business Structure
Business Structure

 さてここで疑問を持つのが、ゆうちょ銀行の利益って誰のもの?である。ゆうちょ銀行のすべての株式を保有するのは持ち株会社である「日本郵政株式会社」である。そして日本郵政株式会社のすべての株式を保有するのは財務大臣である。それは国家保有を意味する。とすれば、ゆうちょ銀行の最終利益は国のものになる。それ以前に、ゆうちょ銀行が支払っている法人税も国に属することになる。

 

 さてここから問題の核心に転じるが、それは次回に続く。

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コメント: 1
  • #1

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