TPP

 超多忙により2ヶ月半ぶりの更新となりました。私の近況は、2つの新規事業の企画を抱え、海外出張やそれらの準備などに忙殺されている。取り上げたいトピックはたくさんあったが、書く時間を見つけることができなかった。しかし、これだけ話題になっているTPPについては是非と思い、久しぶりに独自の視点で書いてみる。(1/22に農業問題について書いていますのでご参照下さい)

 最近の新聞、ニュースの報道はTPPに日本は参加するのか?しないのか?で加熱していた。民主党内では参加に前向きな野田首相をはじめとする執行部、それに反対する山田前農林水産大臣をはじめとする勢力、そして何も表明しない残りの人たち、といったところである。

 

 反対派の急先鋒はJA団体、具体的には元締めの全国農業協同組合中央会(通称:JA全中)である。彼らの言い分は、TPP参加国に対する農産品の関税が撤廃されるにより、日本の農業が壊滅し、ひいては日本の食が脅かされるといったことである。なるほど、農業に強いアメリカやオーストラリアから安い農産品が入ってくることで、日本製品の市場が侵食される可能性は否定できない。

 

 従って、日本人の食を守るために日本の農家を保護し、今まで通り補助金をばら撒くことが必要である、というわけである。この場合の農家とは、もっぱら稲作、要は米を作っている人たちを指す。しかしながら、この米を作っている農家のうち、9割が兼業農家である。食を守る存在として、本当にTPP参加によるメリットを放棄し、我々の税金を投入し続けて保護すべき存在なのであろうか?ところで畑作農家については、8割が専業農家である。

 

 加えて、GDPに占める農業生産の割合は1.5%、農業就業人口の全人口に占める割合は2.6%、農業就業人口の60%が65歳以上である。耕作放棄地は増加の一途をたどり、農地の10%、埼玉県に相当する農地が利用されていない。しかしながら、それらの農地においても相続税、贈与税、固定資産税も実質0である。

 

 もちろん、経済に占める割合が低いからといって、保護すべきではない、といったことにはならないが、日本の将来を考える上で、それほど大きな影響力を持つ存在になることが正しい姿なのか?JA全中もホームページでTPP参加に対する反対表明をしているが、それらは情緒的であり、TPP参加のデメリットがメリットを上回るといった論理的な主張はない。

 

 同調する政治家もかなり多く、JA全中のホームページにはそのリストが掲載されている。ところで反対の立場に同調している国会議員のうち、民主党の衆議院議員の当選回数をまとめたのが下記(PDF資料)である。100人のうち、当選1回の議員が69人(69%)、2回の議員が17人(17%)となる。当選1~2回の新人議員がなんと86%を占めている。ここから導かれる示唆は、これらの国会議員は日本の将来を考えているのではなく、自分の次回の当選のための選択(TPP参加反対)をしているのではないか?となる。新人議員は選挙基盤が弱く、地域の大きな票田であるJAは魅力的な存在である。もちろん民主党ブームの前回の衆議院選挙で彼らを当選させてしまった我々に責の一旦があるものの、怒りよりもがっかりといった感想を持ってしまう。

 

 JA全中もTPP参加反対の立場を表明すれば、選挙協力を行うことをエサに、国会議員の協力をいわば購入し、TPP参加を阻止しようとしているのである。これにフィットするのが民主党の新人議員なのである。まさに、「持ちつ持たれつ」を全国民の前で実践しているのである。

TPPに反対する国会議員(民主党衆議院)
TPPに反対する国会議員(民主党衆議院).pdf
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 TPPに参加すべきか?しないべきか?の判断は一人ひとりによってもちろん意見は異なるが、単なる個人や組織のための既得権益を守ることが、その選択の全決定要因になるべきではない。自分の生活は、自分の業界や地域だけで成り立っているわけではないからである。例えば、農家に補助金を与えるには、他の産業や人が稼ぎ、税金を払ってはじめてそれが可能になるからである。

 

 個人的にはTPP参加のメリットがデメリットを上回ると考えるが、今後の野田首相の熱いリーダーシップに期待している。

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