本日、ヤフーのニュースを見てると、気になる記事を見つけた。あまりに乱暴な論理展開のため、今回は前半部分を検証してみた。
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20130221-00028341-r25&vos=nr25yn0000001
上記はいつまでリンクが有効になるか分からないが、「web R25」の記事であり、『男性不況「男の職場」崩壊が日本を変える』の著者・永濱利廣さんのコメント、分析を基に、現在の男性と女性の雇用需要について述べている。概ね、前半の雇用についての論理展開は以下のようなものである。
まず男女別に製造業と建設業の雇用者数を見てみよう。最新の詳細統計が公開されていないため、データが少し古いが趨勢は判断できる。
上記を見ると、建設業については、確かに男性の雇用者数は減少している。しかし、製造業については、男性、女性ともに雇用者数は同じ程度、減少している。そのため、製造業の雇用需要の減少は男性のみに大きく影響しているわけではない。従って、論理展開の上部は破綻している。
次に医療・福祉分野の雇用者数を見てみよう。確かに女性の雇用者数は大きく増加している。しかしながら、その内訳を見ると、正規雇用の増加よりも、非正規雇用の増加が大きいことが分かる。雇用者数の増加にしても実数で80万人程度をもって、女性の労働需要が高まったと言えるのであろうか?増加の7割以上が非正規雇用なのに、である。結果として、論理展開の下部については破綻しているとまでは言えないが、いささか無理のある論理展開であることが分かる。
さらに、この記事は雇用者のみを問題にしている。統計上、用語の定義は以下の通りである。就業者には、雇用者の他に自営業主及び家族従業者が含まれる。
上記のチャートの通り、確かに女性の雇用者数は増えているが、女性労働力の全体を見る指標である就業者数は横ばいである。つまり、今まで自営業の家族として働いていた女性労働力が雇用者に移動しているのである。従って、必ずしも男性の労働価値が低下したとまでは言えないのである。
結論は、このようになる。企業は利益創出のため、安い労働力の需要を高めている。労働集約的産業である医療・福祉分野も同様である。その受け皿になったのが、パート・アルバイトを中心とした非正規雇用で働く女性である。
女性の労働価値が高まったのではなく、企業の雇用需要が正規雇用から非正規雇用に移っているのである。その結果として、女性が働く機会が増加したのである。
該当記事の後半はほとんど思いつきに近く、検証する価値もない。この記事を読んで「なるほど!」と思う人が少ないことを願う。
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